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事例064 一緒に出かける喜び

暖かい日が増えて来て、桜の開花が待ち遠しくなってきましたね。

私が働いていたデイサービスでは、
短い桜の開花を「今しかない!」と、毎日色んなところへ外出を行ないました。

落ちてきた桜の花びらを大事そうに持って帰る可愛らしいおばあちゃんや、
ノンアルコールビールでも気分で酔っ払えちゃうおじいちゃん、
一句読みますか!と、突然俳句を考えるおばあちゃん…
それぞれに、楽しみ方は色々でした。

これからの季節は、桜・菜の花・バラ・藤…イチゴ狩りなんかもいいですね。
春を感じられるたくさんの楽しみがあります。
私たちのデイサービスでは、このような“外出”も重要視していました。

その理由の一つは、 もちろん利用者のためです。

私たちは、通学・通勤・買い物など、日常的に外の景色を見ています。
季節の花が綺麗だと聞けば見に行くことが出来るし、あの店が美味しいと聞けば食べにいくことが出来ます。

しかし、年をとってくると足腰が弱ってくることもあり、行動範囲がせまくなってきて、
私たちが日常的に見ている景色は、介護が必要なお年寄りには見えにくいのです。
だから、ほんの少し足を伸ばしただけでも喜ぶ方が多いし、
そこに綺麗な眺めや今しか見られない景色があったら、とても喜んでもらえます。

老いや病気などで、不安を抱えることが多い毎日の中で、少しでも
「今日はいいことがあったな。」「なんだか忘れちゃったけど、デイサービスに行ったら楽しいことがあった。」
と思える喜びや楽しみの時間を感じるお手伝いをしたいと思っていました。



さらにもう一つ、“外出”はご家族のためでもあります。

仕事が忙しい、子供の世話が忙しい、車がないなど、様々な理由で
「外出したくても出来ないから、デイサービスで色んなところへ連れて行ってくれると助かる。」
という声を沢山聞いてきました。
デイサービスにはご家族が出来ないことをお手伝いする、ご家族が休める時間を作る、などの役割もあります。

そのため、時々デイサービスは“ご家族の負担軽減の為に、本人に楽しみを提供する場所”と思ってしまっている人がいますが、少し違います。
デイサービスは“本人とご家族の暮らしを応援する場所”なのです。


介護保険の分類でデイサービスは『在宅サービス』と位置づけられています。
『在宅サービス』は、自宅での暮らしを支える為のサービスです。
だから私たちスタッフは、
“利用者本人の為にデイサービスの中で何が出来るのか”だけではなく、
“利用者本人がご家族との日常生活の中で、デイサービスで支えられるのはどの部分か”を考えています。


そのような思いから、こんな取り組みもしていました。
『利用者本人とご家族の思い出作り』です。

デイサービスの外出に、ご家族にも声を掛け、一緒に出かけるのです。
お花見やイチゴ狩り、横浜中華街などにでかけたり、利用者の思い出の地を巡る小旅行も企画しました。
「お父さんと一緒に出かけたのは何年ぶりでしょう!」「一人じゃ連れて来れないけど、皆さんがいるから安心!」
と、とても喜んでくれました。


デイサービスでの“外出”は、レクリエーションと言われることが多いですが、日常のお手伝いなのです。
当たり前の日常生活を手助けすることはもちろん、プロの支えによって、出来ると思ってなかったことも出来る満足がこれからの糧になる、そんな気がしています。
そのようなことの積み重ねで、ご家族の気持ちに余裕ができれば、介護される本人にも還元されるはずです。

最初は介護負担のストレス軽減の為に、日中だけでも離れたい、と親をデイサービスに通わせていたご家族が、

“家族の誕生日祝いにみんなでランチをするから”
“孫の入学式におばあちゃんも連れて行きたいから”

などと言って、デイサービスをお休みにさせる時は、私たちスタッフは本当に嬉しいのです。

ご家族と一緒に出かける喜び、楽しさをデイサービスを通して実感して頂ければと思います。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  17 2016 08:00
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