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事例061 チームケア

デイサービスでの出来事です。
90代のおばあちゃんAさんはアルツハイマー認知症です。

自宅ではテレビをよく見ていて、前の日に見たテレビの話を良く教えてくれたり、
ワイドショーの話題は、職員よりも詳しい愉快なおばあちゃんです。
記憶力も良く、本当に認知症があるのかな?と疑いたくなるようなおばあちゃんでした。


ある日、施設に踊りのボランティアさんが来所しました。
イベントホールに集まる時間になり、利用者の全員に声をかけます。

イベントだからと言っても、利用者の皆さんの好みがあります。
しっかりイベントの内容を伝え、参加するかしないかの確認をとっています。

Aさんにも、若い職員が声をかけました。
「Aさん、今日は踊りのボランティアさんが来ますよ。イベントホールまで見に行きませんか?1時間くらいで終わります。」

Aさん
「う〜ん。今日はあんまり調子が良くないし、踊りもあんまり興味ないしね。それに、今日は便秘薬を飲んだから途中でトイレに行きたくなったら不安だからやめておくよ」


さて、その他の利用者は全てイベントホールへ向かい、フロアは静かになりました。
しーんとしたフロアに残ったAさんは、 足を伸ばしたいからと、自室のソファーに横になりました。
食後ということもあり、ウトウトしだします。

若い職員1人とAさんを残し、私もイベントホールへ。

約一時間後、ホールからフロアへ戻ると、残っていた職員が顔色を変えて焦っています。
どうしたのかと尋ねると…


Aさんはしばらく居眠りをしていたそうです。
遠くからイベントの賑やかな声が聞こえてきて、それに目を覚ましたAさん。

Aさん「あれ?みんなどこへ行ったんだい?」
職員「さっき話した踊りを見に行ったんですよ」
Aさん「踊り?」
職員「そうです。ほらさっき聞いたじゃないですか!行きます?って。Aさんが行かないって言うから、私も一緒に残ってたんですよ。」
Aさん「私は声をかけてもらってないわよ。いつも行かないからって、どうせ声をかけなくてもいいと思ったんでしょう!そんなやり方ないでしょう!!」
職員「いやいや、誘いましたよ。私が。トイレが気になるから行かないって…」
Aさん「私は今日は聞いてない!」

かなりご立腹で怒りがおさまらない様子。
職員と堂々巡りのやり取りをしているそんな中、私が戻ってきたのでした。

状況を把握し職員にアイコンタクト。

まずはAさんに謝ります。
「職員が声をかけさせてもらったようですが、伝わってませんでしたか。申し訳ありません。」

そして、Aさんの目の前で、職員を強めに注意しました。
「なんで声をかけなかったの?声をかけたつもりでも、ご本人に伝わっていなければ同じこと。次回からはしっかりお伝えするように。」
職員も、とても反省したようにAさんに謝ります。

すると、Aさんは…
「目が覚めたらね、誰もいなくてびっくりしてさ、まぁ、寝ちゃったあたしも悪いんだけどさ。一応声をかけてよね。」
と、気持ちが少し落ち着いた様子で話してくれ、一件落着したのでした。


さて、この流れを見てどう思いましたか?


もちろん私は職員がしっかりイベントの内容を話し、参加の有無を聞いていたのを知っています。

そこで、チームプレイです。
感情的になっている場合、第三者の存在は大きく、感情の矛先を分散させることが出来ます。
気持ちを少しでも落ち着けてからしっかり話し、Aさんの話に耳を傾けます。
その時に、きちんと事実は伝えることが大切です。今回でいえば、「声をかけた」ということです。
紛れもない事実です。
認知症だからと言って、事実と違うことを言って気を紛らわすことはしたくありません。

Aさんの言い分を理解しようとする存在がいることが重要なのです。
事実は伝えた上で、病気が忘れさせている部分を責めることはせず、「伝わっていなかったことに気づけなくてごめんなさいね」と謝ります。

一人で困った時には、他の誰かが…
という、フォロー体制を作っておくことがとても大切なのです。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  25 2016 08:00
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