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事例058 訪問介護の今後

先日の新聞記事にこんな見出しが掲載されていました。
『介護保険 調理・買い物除外 厚労省17年度にも 軽度者を対象』

内容をまとめると以下の通りでした。

厚生労働省は、介護保険制度で「要介護1、2」と認定された軽度者向けサービスを大幅に見直す方針を固めた。
具体的には、調理、買い物といった生活援助サービスを保険の給付対象から外すことを検討する。
トイレや入浴などの介助をする身体介護は見直しの対象とはしない。
膨らみ続ける社会保障費を抑えるのが狙いで、抑制額は年約1100億円、約30万人の利用者に影響が出る可能性もある。
2月にも始まる社会保障審議会で議論を開始。年内に改革案をまとめて、2017年度にも実施に移す。

注)
介護保険のサービスを受ける際には、まずは、要介護認定を申請します。
要介護認定では、判定結果は要介護状態によって8つの区分に分けられます。
【非該当:(自立)  要支援:1・2  要介護:1・2・3・4・5】
非該当の場合は介護保険のサービスを受けられません。
要介護度が重いほど介護保険のサービスを利用出来る量が多くなります。


このことに対して「軽度者切り捨てだ!」など、様々な反対の意見が飛んでいるようです。

私はそもそも、『要介護でできることが分けられる』ということに疑問を持っています。
なぜなら、
・身体的な衰えによって分けられた要介護度1
・認知症や精神的な病状によって分けられた要介護1
これらは、同じ要介護度1でも、必要とする支援がそれぞれ違うからです。

大切なのは要介護度でどんなサービスが提供できるかではなく、その人に必要なサービスをどのように提供できるのか、だと思っています。
ですから、介護度によってできる内容が区切られてしまうこと自体に疑問を感じるのです。要介護度が低い時にこそ、必要な支援が受けられれば、在宅生活を長く続けられたり、仕事を持った家族が安心して介護を続けられるきっかけになるのではないか、と考えています。


私はスウェーデンのエスロブという町に、福祉や施設の現状を学びに行ったことがあります。
そこで、日本とスウェーデンとの訪問介護のあり方の違いに驚きました。

スウェーデンにはアンダーナースというヘルパーさんのような役割の人がいます。
基礎的な医療の勉強を修めた介護スタッフです。
しっかりと役割が決められており、家事援助のうち掃除洗濯は行いません。
ポイント介護と言い、訪問時間は平均15分という短いもの。1日に何度も訪問し、その時必要なことを必要な時間する、というシンプルで的を得た支援です。
「オムソーリ(悲しみの分かち合い)」という言葉をケアの中心におき、アンダーナースの会話力・人間関係力、そして家族や地域の助け合いによって高齢者を孤独にさせない仕組みになっています。

日本では、身体介護も生活介護も全てヘルパーさんが行います。
そして、訪問時間もケアプランの中で決められており、サービス内容によっては次の訪問までに2時間を空ける、などのルールがあります。
話し相手やペットの世話などは介護保険では適用になりません。
制度上、やってほしいことがやってもらえない、逆に、やってあげたいことが出来ない、などの不満も多いようです。

ひとりひとりの必要なことにスポットを当てて、シンプルかつ細やかな支援ができるような内容に変わって欲しいと思っています。


しかし、確かに社会保障費が膨らみ続けているのは間違いなく、少子化・核家族化によってこれからの若い世代の負担が増大していきます。
介護サービス=介護保険のサービスだけではなく、もっと地域の社会資源を活用することも必要になってきそうです。
そのためには、地域資源としてどんなサービスがあるのか調べてみてもいいと思います。

市町村のサービス情報は、市町村・地域包括支援センターなどでも教えてくれます。また、地域新聞や広報誌にも掲載されていたり、インターネットの情報サイトに介護のカテゴリーを設けているものもあります。

先日テレビで、いわゆる「何でも屋さん」に依頼が殺到しているとの特集を見ました。
中には、ゴキブリを退治して欲しいとか、押入れの中にあるものを取って欲しいとか、ちょっとした用事で依頼をする高齢者がいたりして。
スタッフの言葉が印象的でした。
「高齢者の方の依頼が多いんですよ。伺うとお話が止まらないんです。ちょっとしたことなんですけど、とっても喜んでくださって。本当は用事よりも、こっちがメインなんじゃないかなって。私たちも時間の限りお話聞いてあげようと思ってます。」


必要なサービスが提供されたという満足感には、これからを生きる希望があります。
希望を持てると、このままの生活を維持したい、もっと健康でいたいという自立心にも繋がると思っています。

介護保険制度の見直しは、財源の確保だけにとらわれず、中身にも目を向けたものになって欲しいと思います。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  04 2016 12:19
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