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事例040 主婦の段取りから学んだこと

ある日のデイサービスの午後のことです。

20代の男性スタッフが、たくさんの洗濯物と物干しスタンドを抱えて洗濯場からやって来ました。
小さなタオルやバスタオル、ズボンや靴下、下着などなど。
午前中の入浴ででた洗濯物です。

それを見た、女性の利用者様が

「あらあら大変ね!干すんでしょ?手伝うわよ!」
と率先して申し出てくれました。

物干しスタンドを広げ、洗濯物を干しはじめた二人。

一枚目。
おばぁちゃんは、たくさんの洗濯物の中から小さなタオルを選んで干しました。
男性スタッフは、一番上にあるズボンから干しました。

二枚目。
おばぁちゃんは、また同じ種類のタオルを洗濯物の中から選んで干しました。
男性スタッフは、一番上にある靴下を干しました。

三枚目。
おばぁちゃんはまた洗濯物を掘り返し、同じタオルはないか探しています。

男性スタッフが声をかけます。

「上から干していってくれたらいいですよ。面倒ですから…。」

それを聞いたおばぁちゃんは、
「洗濯物を干す時は、取り込むことと、たたむ時のことを考えて干すものよ。おなじ種類で並べて干したら、後が楽でしょ。早く済むしね!それに、ここではあなたが干したからって、あなたが取り込むとは限らないじゃない。次の人のためにもなるわね!」

男性スタッフ
「なるほど!そうです。多分今日中には乾かないので、たたむのは僕じゃありません。次の人のためにか…。」

おばぁちゃん
「そう。主婦はみんな、そうやって次の段取りを考えてやってるのよ。」

その後男性スタッフは、「次は何がいいですかね。」なんて聞きながら、洗濯を干していました。まるで、おばぁちゃんと孫のようで微笑ましい光景でした。


施設では、利用者様の残存機能保持、向上の為に家事仕事を手伝ってもらうことがあります。
洗濯物干し、買い物、料理、おやつ作り…利用者様のために、と思ってやっていることも、実は私たちの方が教わることが多かったりして。

洗濯物を干すというたったそれだけのことですが、家事の段取りを教わることで、次の仕事や携わる人のことを考えて行動をするという、仕事の段取りさえも教えてもらった気がします。

スタッフにとってもそう言う細かな思いやりの部分を、同僚や上司から教わるのではなく、利用者様と一緒に家事をしながら教わる、学ぶ方がとても自然で受け入れやすかったのではないかと思います。

介護の職場には、暮らしの中にある“自然なふれあい”と“学び”があります。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Fri,  02 2015 06:41
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