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事例034 小子内さん最近見ないね

先日、地域の盆踊り会場にいた私に、声をかけてくれた人がいました。
私が1年前以上前に辞めた、デイサービスの仲間です。

久しぶりに会ったので、利用者さんやスタッフのことをいろいろ話していた時に、その人が教えてくれました。

お元気だったTさんは認知症が進行して…
毎日のように通っていたMさんはグループホームへ入居したんです…
一番高齢だったIさんは、暑さに倒れて…

そっか…一年経つと、お変わりない方は少なく、少し残念な話ばかりだな…
と、思いながら聞いていましたが、一つだけ嬉しいことがありました。

「若年性認知症のSさんは、より一層短期記憶が失われていっているんだけど、未だに小子内さんの名前を言うんですよ。」

Sさんは60代前半で認知症の診断を受けました。
同じものをいくつも買い込んで冷蔵庫をいっぱいにしたり。
汚れた下着をタンスに隠して忘れてしまったり。
電車で出かけて迷子になったり。

家族も同居していますが、会社勤めのため日中はほとんど家におらず、心配になった家族の意向でデイサービスに通うことになりました。

お若いですし身体もお元気で、買い物や料理などの手伝いもテキパキ動いてくれます。

そんな元気なSさんも、デイサービスで入浴中に私と二人きりになった際には、自分のこれからについての不安や、どうしてこんなになっちゃったのだろう…と落ち込むことがありましたし、一緒に住む家族とうまくコミュニケーションが取れないことを悩んで話してくれたこともありました。

真剣にSさんの話を受け止めました。

明るいSさんは、話の最後には必ず、
「でもさ!くよくよしても仕方ないわよね!話を聞いてもらってすっきりした。ここにきて、スタッフの皆さんと話したりしてるのが一番よ!ここに来て良かった。家族に感謝しなきゃ!」
と締めくくるのでした。

月日が経つと、より一層短期記憶が失われ、私が会社を辞める頃には話相手が相槌をうっている間に、ご自分が何を話していたのかわからなくなってしまうくらいに記憶を忘れるスピードが速くなっていました。

私が辞めたら、すぐに名前なんて忘れてしまうだろう…そう思っていたのです。

しかし、1年以上経った今も、「あれ?小子内さん最近見ないわね!」
と話しているのだそうです。その度に、「小子内さんは辞めたんですよ。」とスタッフは1年以上繰り返し話しているそうで。

覚えていてくれて素直に嬉しいのと、昔の記憶でなくても、認知症になってからの体験で新しい記憶でも、保たれる記憶があること。それを教えてくれました。

今度、そのデイサービスに遊びに行く予定があり、Sさんや利用者の皆さんに会うのが今から楽しみです。
覚えていてくれても、そうでなくても、会いたい、話したい、ただそれだけです。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  20 2015 08:00
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