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事例集027 発見は思わぬところから

梅雨の時期から夏になると、熱中症や脱水症状などが心配されます。
高齢者では特に気にかけなくてはいけないことの一つです。

外は暑いから部屋の中に閉じこもっている、エアコンの風が苦手だからつけないで我慢、衣服の調節が出来ていない、まだ大丈夫だろうという油断…。
色々な要因で知らず知らず脱水になる方が、多いです。

喉が渇いたな、と思ったらすでに脱水症状の始まりです。
意識してこまめな摂取が必要なんですね。


さて、水分の摂取について、以前こんな出来事がありました。

認知症の男性Tさんは、とにかく一日中歩き回っています。
自宅にいてもデイサービスにいても、ほとんど歩いています。
窓や出入り口を見つけると、鍵やドアのぶをガチャガチャ動かし、廊下の先や外へ出ようとします。
本人が歩きたい気持ちは、抑制したくなかったので、可能な限り家では奥様や家族、デイサービスではスタッフが、後をついて見守っていました。

見守らなくてはいけない理由としては、転倒や一人歩きの危険があったらすぐに対応する他に、こんな理由があります。

認知症のため、本人がご自身の体力を把握出来ず、疲れを認識出来ないため、ある程度で声をかけたりしなければ、身体が疲労したまま歩き続けることになり、脱水症状を引き起こす可能性があるからです。

Tさんは、嚥下(食物を飲み下すこと)機能も低下しており、むせ混みがひどくなることから始まり、徐々に水分の飲み込みが難しく、口から流れ出てしまったり、飲み込めずいつまでも口の中にとどめて置いたりするようになりました。

とろみをつけた液体も、ゼラチンで固めたゼリーも、日によってうまく飲み込めない日が続いていました。

色々試した結果、よかったのが飲み込んでも詰まらない大きさの氷を直接食べてもらうこと。
さらに、意外なものが良かったのです。

それは、シェイクです。

その発見は偶然でした。
ある日、デイサービスでたまには外でおやつを食べよう!ということになり、あるショッピングセンターのフードコートに出掛けることに。

でも、ショッピングセンターに向かう車の中で眠ってしまったTさん。
無理やり起こすことは出来ないので仕方なく、車の中でスタッフと待機することに。

元気な利用者様はファーストフード店でアップルパイやソフトクリームを注文していました。
Tさんには何がいいだろう…と悩んだ結果、持ち運びが出来て、飲み込みやすいもの…シェイクはどうかと、チャレンジのつもりで購入してみました。

しばらく車で寝ていたTさん、シェイクがまぁまぁ溶け始めた絶妙なタイミングでお目覚め。

シェイクを渡してストローを口に持っていき、「吸ってみて下さい」と声をかけると、ズルズルゴクゴクと一度もむせることなく、あっという間に全部飲んでしまいました。

水分摂取のし方に困っていた矢先の、思いがけないシェイクとの出会い。
今まで氷をちびちび舐めるしか手がなかったので、嬉しくて、ご家族にも報告。
「あら、うちのお父さん、シェイクなんで、洒落たもの飲めるのね!」と、家族も驚きの出来事でした。

この出来事を、歯科医師会の先生に話してみると、
「氷の砕片は嚥下反射を誘発すると言われています、シェイクは液体よりも氷の食感があるからそれと同じ効果がでたのかも知れませんね。」とのこと。


嚥下力の低下は人それぞれで、一概にこれが良い方法とは言えませんが、ストローで吸うということ、食感や液体のとろみ具合、寝起きで水分を欲していたなど、自然に水分摂取できる条件がそろったんですね。

たまたま、おやつを外に食べに行こうと企画しなければ、Tさんがシェイクを飲めるということを知り得なかったのです。

普段と違うことを行ったことから、新しい発見があった。
視点を変えてみることって、大切なんですね。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  02 2015 08:00
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