介護デザインプロジェクト

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事例259 歳を感じながらも目をそらしたい母

知人Aさんの母親(70代、一人暮らし)の話です。
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Aさんの母親は最近までパートで働いていましたが、自分から辞めました。
Aさんは健康のためにも、働けるなら元気なうちは働いていた方がいいと思っていましたが、母親は、「あんまり歳をとってまで働いていると、あのおばさんもうやめればいいのに、とか思われたら嫌だし」と、自分の歳と周囲のことを気にして辞めたのでした。

仕事を辞めてからは、自宅で庭いじりをしたり、得意の裁縫をしたりして過ごし、たまに友人とランチをしに行く、といった毎日だそうです。

ある日、Aさんが母親に会いに行き、一緒にご飯を食べていると、テレビに葬儀会社のCMが流れました。
CMでは、母と同じくらいの年代の俳優さんが、葬儀について語っています。

すると母親はこう言います。
「こういう葬儀のCM嫌なのよね。なんか寂しくなる。」

ニュースでは、高齢者ドライバーの交通事故のたびに、
「高齢者高齢者って言わなきゃいいのに、なんか肩身が狭くなってきて嫌だわ。」

母もそんな年齢になってきたし、と思い、免許の返納についてAさんから話してみると、

「車を運転できなくなったら、買い物も不便だし、バスとかもほとんど乗ったことないし、この家に引きこもりになっちゃうわよ。心配されなくても運転はまだ大丈夫よ。」

と少しイラだったような言葉で返ってきました。なんとなく気まずい雰囲気になったといいます。

歳を意識しながらも、歳をとっていると思いたくない、思われたくない母親に対して、何と無くAさんはそういう話は母の前ではタブーなのかな?という感覚になっていて、あまり話さないようにしていたのですが、最近気になる事があると言います。

それは、母と話をしているときに、「え?」と聞き返される事が多くなってきたことと、テレビの音量が大きくなってきたことです。
少し耳が遠くなってきていることに気がついたのです。

母親は自覚がないようでした。
Aさんは、早めに耳鼻科などに受診した方がいいのではないか、と思いましたが、これまで母に年齢を感じさせるような会話はしないようにしてきた為、傷つけてしまうのではないか、怒らせてしまうのではないか、と思いなかなか切り出せずにいたと言います。

気が付いてから数ヶ月、孫を連れて母のところに遊びに行った時、小学生の孫がぽろっと、
「おおママ(おばあちゃんと呼ばれたくないとの希望でこう呼ばせている)って、テレビ見る時音が大きいよね。」と言いました。

母はなんていうだろうと顔色を伺っていると、少し驚いた様子でしたが「そう?でも最近、何と無く聞こえにくい事があるなって思ってたんだよね。」と、話してくれました。
これはチャンスと思い、「気になることは早めに診てもらったほうがいいよ、耳鼻科は少し遠いから連れて行くよ。」と言うと、「じゃあお願いしようかな。」と、すぐに返事が返ってきました。

ずっと気になって言い出せなかった事が、孫の一言がきっかけで解決したのです。
Aさんは
「今後も親の歳と共に、気になる事や注意しなくてはいけない事が増えていくのではないかと思っています。親が自分から自覚して行動してくれるといいのですが、家族が先に気がつくこともあると思います。そんな時、親の気持ちを組まずに、注意したりしてしまうと落ち込ませたり、関係性を壊してしまうこともあるんじゃないかと思います。
今回は、たまたま孫が何気なく行った言葉でスムーズに行きましたが、第三者が声をかけることでうまく行くこともあるんだなって思います。
自分の気持ちも楽でしたし、母も落ち込まずに問題を受け入れる事ができたので、良かったです。」

親の歳と共に気になることはあるけれど、言い出しにくい状況ということも結構あると思います。

そんな時、誰から言われるかや、自然に言葉を受け入れられる環境を整えられることはとても大切になります。
自分一人で解決しようとせず、家族や専門家などの協力を得て、上手に勧められると良いですね。
Posted by おこないちかこ on  | 0 comments 

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