介護デザインプロジェクト

このブログでは、
介護の現場エピソードや、現在の社会問題について情報を発信していきます。

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事例252 “自分が頑張ればいい”のその先

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60代の夫婦の話です。
ご主人は重度の認知症で、奥様一人で介護をしています。

ご主人は以前は鉄工所で働く職人で仕事一筋で、退職したその年に認知症を発症、年々症状は悪化し、徘徊行動、異食行動を繰り返すようになりました。最近では、排泄管理が出来ずリハビリパンツを履いています。

特に奥様が困ってしまうのは、徘徊行動で、奥様の知らないうちに自宅を出ては、他のお宅に入ろうとしたり、スーパーのお惣菜コーナーで売り物を食べてしまったり、道の途中で排泄をしてしまったり、ご近所や近隣の施設に迷惑をかけ始めていました。

玄関には二重にも三重にも鍵をかけ、鍵は見つからないようにしまいました。
それでも、職人だったご主人は腕っ節が強く、鍵を壊したり、時にはドアノブを壊してまで外へ出て行ってしまうのだそうです。

奥様の介護負担が大きくなった為、デイサービスに通っていましたが、安心できるのはデイサービスに通っている日のその時間だけ。帰ってくれば、夜中でもまたどこかへ行ってしまうのでは?という不安がつきまとい、精神的にも追い詰められていたと言います。

ある日、ケアマネージャーさんがご夫婦の自宅を訪問すると、衝撃的な光景があったと言います。
それは、旦那さんが椅子に手足や腰を縛られたままリビングに倒れていたのです。

奥様に状況を聞くと
「これじゃ虐待ですよね。でも、もうこうするしか無いのです。安心してご飯の用意もできない、風呂にも入れない。外へ出てしまえば、近所迷惑になる。もう限界なんです。縛られてもなお、こうやって動いてどこかへ行こうとするんです。うまく動けないから倒れちゃいましたけど。」

ケアマネージャー
「奥様、これは虐待になりますし、ご主人が怪我をしてしまう可能性もあるので、まずいですね。もっと相談していただければよかったのに。」

奥様
「毎日毎日、一分一秒主人のことを気にして暮らして、疲れてしまいました。誰にも相談する気にもなりませんでした。もう誰にも迷惑をかけたく無いんです。主人さえ徘徊しなければ、私一人でなんとかできると思ったんです。」


在宅で介護をしている家族にとって、いまこの瞬間も安心して暮らせないという状況がある場合があります。今日も明日も、いつまでこの状況が続くのだろうかと苦しい思いを抱えている方も少なく無いと思います。

このような状況にあって、家族の考えで意外と多いのが、
『誰かに相談してもどうせ分かってもらえない。』
『誰かに相談したところで、いまの状況がすぐ変わるわけでは無い。』
『私が我慢すれば済むことなんだ。』
という考えです。

そういう考えになると、ますます自分自身を追い詰めて行くことになり、虐待や事件などに発展してしまったり、家族が健康を害してしまう可能性もあります。

最近元気がなさそうで疲れている様子
「介護で大変だ」とグチをこぼしていた
近所でもあまり見かけなくなった

私たちも、仕事の仲間やご近所など、身の回りを少し気にしてみるとそんな状況があるかもしれません。

最近では、福井県で高齢の義父母と脳梗塞の後遺症のある夫の3人を妻が殺害した、という事件がありました。介護疲れが原因の可能性もある、とのことでした。
「3人の介護をしているのでしんどい」と近所の人たちにグチを漏らしていたことも分かっています。

外部に助けを求めず、気持ちが閉じこもりがちになってしまった介護者を外部から見つけて支援することは、非常に難しい事ではありますが、仕事をしていれば身近な仲間、ご近所さんでも、誰でも地域包括センターなど、必要な支援、相談窓口につなげることが出来ます。
匿名でも大丈夫です。

他人事と思わずに、でもお節介と思われないように、というのは、いまのご時世で特に難しいことですが、介護者をいかに孤独にしないかということにおいて、身近な人の関わりは、これからの重要な課題だと思います。

Posted by おこないちかこ on  | 0 comments 

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