介護デザインプロジェクト

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事例245 母の孤独死を経験して

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親の孤独死を体験した女性の話です。

女性Aさんは、ご主人と小学性の子供3人で暮らしています。
同じ市内に住むAさんの母親は持病があり足が悪く通院が必要だったので、通院の日はAさんが送迎をしていました。
母親は、日常生活は一人暮らしで問題なくできていたので、月に一度の通院の日に会うくらいでした。

Aさんは、パートで働きながら子育てをし、母親の事も気にかけている状況が数年続いていました。
子供の学校のこと、家庭のこと、母親のこと、仕事のこと。
自分のことは全て後回しで、毎日があっという間に過ぎて行ったと言います。

ある日、ご主人は出張で不在の間、学校で子供同士での喧嘩があり、親や先生が集まって話をする事がありました。小学校高学年の長男は反抗期で、この件がきっかけで、家でもAさんと口をきかなくなりました。
毎日イライラが募っていたAさんは、そのことに気を取られ、母親の通院の日をすっかり忘れて送迎をすっぽかしてしまったのです。

母親から電話がありました。
「あんた、今日私の病院の日なんだけど。もう予約の時間に間に合わないわよ。こっちは準備して待ってたのに。しっかりしてよね。」

子供のことで気持ちが目一杯になっていたAさんは、母親からの電話でキレてしまいました。

Aさん
「こっちだって忙しいのよ。たまに忘れることぐらいあるわよ。せっかく家にシルバーカーがあるんだから、それ使ってバス停まで歩いていけば、病院だって一人でいけるでしょ。もう私に頼るのやめてよね!」

その日以来、月に一度の母親の通院の送迎をしなくなったばかりか、ほとんど会うこともなくなりました。

数ヶ月が経ったある日、携帯電話に知らない番号から何度か電話が入っていました。
確認すると、母親の住むアパートの隣の住人というからでした。
「最近お母様を見なくて、娘さんのところにでも行ったのかと思いまして。お母様の部屋の新聞受けがいっぱいになっていて、呼んでも応答がないし、不在なのか、もしかしたら倒れていると困ると思って。娘さんに確認してみようと思いまして。何かあったら、この番号にかけるようにと、お母様から頼まれていたもので。」

Aさんはそれを聞いた瞬間、胸騒ぎがしたと言います。
すぐに母親の自宅を訪ねました。

鍵はかかったままで、窓も空いていませんでした。
大家さんが鍵を開けてくれて中に入ると、母親はリビングのテーブルに突っ伏したまま亡くなっていました。
死後2~3日くらいだろう、とのことでした。

隣の住人の方が気にかけてくれなかったら、私の携帯番号を母が教えていなかったらどうなっていたんだろう。
娘の携帯番号を隣人に伝えているということは、一人暮らしの不安もあったんだと思う。
母親の通院の送迎を続けていれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。
自分に余裕がなくて母親と喧嘩になり疎遠になったばかりに、母の最期を孤独死にしてしまった。
近くに住んでいながら何をやっているんだろう。

色んなことが頭をめぐって、半年たった今でも自分を責め続けていると言います。

Aさんは言います。
「母親のことがあってから、何事にもいつ何があるか分からない、という気持ちが強くなりました。そう思うことによって、子育てに関しても、主人の両親に対しても、これまでとは違った気持ちで向き合うようになりました。自分自身に少し余裕を持てるようになりましたし、そのせいかわかりませんが、長男の反抗期がなくなりましたね。母親に対しては後悔しかありませんが、後悔を繰り返さないようにしたいと思います。」

Aさんのお母様の件に関して、誰も責めることはできないと思います。
子育て世代は同時に親のことも気にかける世代だという事を念頭において、無理をする事なく、家族の協力体制や役割をしっかり作っていきたいものですね。


Posted by おこないちかこ on  | 0 comments 

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