介護デザインプロジェクト

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介護の現場エピソードや、現在の社会問題について情報を発信していきます。

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事例228 車椅子体験の経験から

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事故や病気や介護などで、誰もがお世話になる可能性のある「車椅子」。
先日、あるアーティストが車椅子に乗る体験をした、という話をラジオでしていました。

番組の企画で車椅子に乗り、ある場所からタクシーに乗って次の場所へと移動をする、というものだったのですが、車椅子の機能、車椅子目線で見る建物や移動手段の作り、人からの目線など、体験しないと見えてこない部分が分かってとても良かった。
ぜひ、多くの人に車椅を体験してほしい、と感想を話していました。


まず、車椅子の機能について語っていたところで面白かったのは、
「カフェでカップのホットコーヒーを頼んで受け取ったはいいけど、動けなくなってしまった。車椅子は片手でタイヤを動かしても、まっすぐ進むものだと勝手に思い込んでしまっていて、片手で飲み物を持ったままだとまっすぐ前に進む事ができない、と初めて知った。」というもの。

基本的に自走用車椅子は、タイヤの脇についたハンドリムというリングを両手で漕ぐことによって前に進み、左右の動かし方を調整して左右に曲がり、小回りの効く動きができるようになっています。

車椅子の中には、麻痺などのある方用に、片手駆動式や足でこぐタイプの車椅子もあります。
ドリンクに関しては、ドリンクホルダーや小物入れを付けるなどすると便利です。


次に、移動について。
「車椅子対応のタクシー(介護タクシーではない)を頼んだが、ドライバーさんが慣れていなく、スロープを出したり、固定金具をつける操作に手間取っていて、出発するまでにものすごく時間がかかった。また、車椅子使用者側からすると、いろいろやってもらってすみません。と、当たり前のことなのになぜか、申し訳なさを感じてしまった。本当は、乗るために必要な行為をしてくれているのだから、謝ることないのに。」というもの。

ドライバーさんは、車椅子の取り扱いについてはもちろん教育や研修を受けているわけですが、やはりやり慣れていないと手間取ることもあるでしょう。
慣れている方でも、車椅子の構造や大きさなどで通常通りにはいかないこともあったりするかもしれません。

「申し訳なさを感じてしまった」ということに関しては、私の家族も、小児脳性麻痺で小さい頃から車椅子生活を送っているのですが、似たようなことをいつも言っていました。
「我々は一人じゃ何にもできないんだ。みんなに世話をかけて生きている。勘弁してくれな。」
これが口癖でした。


ここで、「共生社会」という言葉を思い浮かべました。
障害がある、ないにかかわらず、女の人も男の人も、お年寄りも若い人も、全ての人がお互いの人権(私たちが幸福に暮らしていくための権利)や尊厳(その人の人格を尊いものと認めて敬うこと)を大切にし、支え合い、誰もが生き生きとした人生を送ることができる社会、のことをいいます。


この共生社会を作っていくために、世の中の物理的なバリアフリーを目指すのはとても時間がかかりますし、難しいことだと思います。これにプラスして、精神的な心のバリフリーが必要なのです。

以前このブログでも、心のバリアフリーの話をしたことがあります。
事例143 心のバリアフリー http://kaigodesign.com/blog-entry-245.html


例えば、車椅子は少しの段差も乗り越えられない事があります。
既存の道路や建物の段差をなくそうと思ったら、時間もお金もかかります。
そこを通り過ぎる方が、車椅子の方が困っているなと思ったら、少し手助けしてさえくれれば、乗り越えられる場所は沢山あります。

車椅子体験をしたアーティストは、
「この体験をしてみて初めて、日常生活の中の不便さや人からの目線、を感じる事ができた。だからこそ、車椅子に乗っている方がもっともっと社会で不便なく活躍できる仕組みを、多くの人が実際に体験して感じるべきだと思う。」
と話していました。

日本でも、教育現場ではこのような体験を取り入れているところも増えてきたようですが、
車椅子に乗った事がない大人は沢山います。
大人になってからも、自分の働いている会社、自分の住んでいる街は共生社会の考え方からすると、どんな仕組みや心構えが必要か?と想像できるきっかけがもっともっと必要な気がしています。
Posted by おこないちかこ on  | 0 comments 

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