介護デザインプロジェクト

このブログでは、
介護の現場エピソードや、現在の社会問題について情報を発信していきます。

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事例208 認知症の方が残していたメモから

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介護士の知人から、認知症の70代の女性Aさんが書いていた手帳の一部を見せてもらいました。

Aさんは地方の出身です。
家族関係は複雑な部分があり詳細は不明ですが、少し前から子供の住む東京で、子供達の家の近くの高齢者住宅(お元気な方が入所する施設)に暮らし始めたようです。

最近になって、認知症の症状が強く出始めたため、知人の働く介護施設に転居することになりました。

Aさんはいつも小さな手帳を持ち歩いていて、ある時から、その手帳をじっと見つめていることが多くなり、知人が不思議に思ってその手帳を見せてもらったそうです。

そこには、テレビで見た認知症の話や薬の事がメモしてあり、さらに、友人との約束を忘れてしまったこと、通帳の金額と使った額の計算表(お金の管理ができなくなって来たためではないか)などが沢山書かれている中、あるページに目がとまりました。

高齢者住宅に暮らしていた頃に書かれたと思われ、その頃の葛藤が書かれていたのです。
全文がこちらです(Aさんが書いていた通りに表記します。)

『 ◯月◯日
毎日、口をきく人もなく誰1人で毎日暮らしている 
私しは今何のためにこゝに居るのだろうか 
センタクおしてたゞテレビオ見て1日中人と口も聞かず逢もしず 
外へ出て行けばいゝのにと云ふ人は居ると思ふ。

だけどみんな年おとって東京あたりの人は、となりの人もしらない人で言葉をかわすことなぞない
顔も逢うはない 頭はずんずん悪くなるばかり 
いなかに早く帰ってこんな年にならない内に帰って1人でも暮らしていればよかったと思ふ 

生活費はだれにももらわなくてもゆたかにすごして行けるほどあるのに
なぜこんな生活をしていなくてはならないのか 私の親不幸をして来たばちだと思ふ。

じっとしんぼうして1人でくらしていると思へばなにもさみしくもないと思いながらも
自分1人でいなかに居る方が幸だとつくづく思ふ。
私が親にきつとして来た事だと思ふ。
みんな自分にもどって来るのだと思ふ。
だれもにくまず だれにもたよらず まして幸わせにすごそうなんて思ってはいけないネ。』


施設に暮らし、家族との距離も近くなり、周囲に人がいる環境にも関わらず、孤独を感じながら認知症が進んでいく事への不安を抱えて過ごしている様子がリアルに伝わって来ました。
カタカナやひらがな表記が多く、誤字や文章の並びがおかしな部分が多々あることから見ても、認知症の症状があることが分かります。

このAさんのメモを読みながら、私の母(青森在住)が言った言葉を思い出していました。
「あなた達(私と姉)が関東にいるから、私も歳をとったら、そっちでお世話になろうかなって思う部分も少しはあるわよ。ただ、自信ないな。歳をとってから新たな人付き合いをするのって本当に面倒な気がする。それに私は田舎者だし、東京の暮らしをできるかどうか不安でたまらない。

田舎にいれば、一人暮らしだって近所の人や友達やだれかが助けてくれるし、気兼ねなく誰かと話したり好きなところへ行けるもの。あなた達が一人暮らしを心配してくれる事は嬉しいけど、私は死ぬまで田舎で暮らしていたい。生まれ育ったこの町にいる事自体が私にとっては安心なのよ」


親の立場からすると、出来れば今のままの生活を続けたい、環境を変えたくないと願う人は多いのではないかと思います。
ただ、都会に住む子供の立場からしてみると、
「親が田舎で一人暮らしをしている事は心配、ただ自分たちは仕事や子育ての関係で、生活を変える事は難しいから、親がこちらの生活に合わせて欲しい。そうすれば、お互いの一人暮らしに対する心配も少なくなって良いのではないか」
そう思う人もいるでしょう。

ここで一つ事実として言える事は、田舎に長年住んで来た高齢者が都会に暮らすことになるのは、思った以上にリスクが高いという事です。
親の呼び寄せを上手に行うには、以前のブログを参照ください。
事例057 高齢者の引越し 
http://kaigodesign.com/blog-entry-89.html

今回Aさんのメモを読ませてもらって思い出した母の思いは、軽視してはいけないと感じています。
ただ、母の思いを尊重するにしても、やはり一人暮らしの心配は尽きません。
私にこれから何が出来るのか、母の思いを尊重しながらも、自分たちの暮らしを守って行くためには何が出来るのかを、家族みんなが元気なうちに少しづつ考えていけたらと思っています。

今年の年末年始は、家族でどんな話はできるか…また来年ご報告できたらと思います。
皆さんも是非、帰省のチャンスに家族のこれからを語り合ってみてはいかがでしょうか?


2018年最後の木曜日となりました。
今年最後の『施設の現場からの事例集』です。
いつも読んでいただいている皆様、ありがとうございます。

また来年も、週1回の更新を続けて行きます。
どうぞよろしくお願いいたします。



Posted by おこないちかこ on  | 0 comments 

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