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事例203 長けりゃいいってもんじゃない

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施設のおばあちゃんの病院受診に付き添ったある日のこと。
受付を済ませ、待合室で診察を待っていると、受付の方から言い合うような声が聞こえてきました。

大きな声で話しているのは、耳の遠い年配の男性でした。
カウンターを挟んで話を聞いていた受付の事務の女性は、年齢的にも雰囲気的にもベテランそうな感じがしました。


その二人の会話が、全く噛み合ってないのです。

男性
「(封筒を見せて)こういう書類が家に届いたんですがね。これここに置いて行きますから、よろしくおねがいしますね」

事務の女性
「え?この書類、置いていかれても困るんです。持って帰っていただけます?」

男性
「え?だから、ここに置いておきますから…」

事務の女性
「だから、困るって言ってるじゃないですか。これは役所に出すものです。ここでは必要ありません。」

男性
「え?どこに持っていけばいいだよ。ここに置いて置いちゃいけないの?」

事務の女性
「はい、必要ありません。」


事務の女性は早口で、いかにも業務的に、他にも来る受付の作業をしながら、“めんどくさい…”というように軽くあしらっているような態度でした。

おじいちゃんは書類を見つめて、黙って立ち尽くしてしまいました。
そのうちに、電話が鳴りベテランの事務の女性はそちらの対応をしていると、休憩から帰ってきた、若い事務の女性がおじいちゃんの相手を始めました。

若い女性は、おじいちゃんが耳が遠いと分かると、カウンターの中から出てきて、耳打ちしながら丁寧に説明を始めました。

そして、書類の正しい提出先をゆっくりと教え、メモにも残して渡していました。
おじいちゃんはお礼を言い、笑顔で帰って行ったのでした。


私と一緒に一部始終を見ていたおばあちゃんは、ポツリとこんなことを言いました。

「年ばっかり食ってベテランづらしたって、あのくらい親切にできないなんてダメよ。特に病院なんて、年寄りが多いんだから、ちゃんと相手してやんなきゃ。それに比べて若い子は親切だったね。
仕事は長くつづけりゃいいってもんじゃない。こんな人になりたいって思ってもらうような人間になんなきゃね。」


おばあちゃんの一言に、自分の事も振り返らなければ…。
そう思わされたのと同時に、思い出したのは、
『勤続10年以上の介護福祉士は月額8万円、賃金が上がる』というニュース。
※「8万円アップ」議論開始 社保審給付費分科会
https://www.koureisha-jutaku.com/newspaper/synthesis/20180912_02_1/

具体案はまだ示されていないものの、その職員の『質』が評価されないまま、これが該当するならば、少し不安な気持ちもあります。

今後の審議報告を注意して見て行きたいと思います。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  15 2018 08:00
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