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事例200 施設選び、安心感はどこにあるのか

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心配性の母親を施設に入れた家族の話です。

軽度の認知症Aさんは、病気になる前は一人暮らしをしていました。
体調にはとにかく気を使っていて、風邪薬や頭痛薬、胃腸薬など常備薬は欠かさなかったといいます。

具合がわるくなくても予防で薬を飲んだり、少しでも体調に変化を感じたらすぐに病院に行く人でした。

物忘れが増えてきて、認知症と診断されたこともあり、これまでの日常生活をなるべく変えないような暮らしができる施設を選び入居しました。

入居してすぐ、施設から家族に連絡が入りました。

「Aさんから、頭が痛いから市販の薬を買いに行きたいと申し出がありました。
自分の部屋に置いておきたいとおっしゃるのですが、施設としては、主治医から出ているお薬もありますし、忘れて何度も飲んだりされても困りますし、出来ないとお断りしましたが、どうしても納得されなくて。
もし機会があったら、ご家族からも伝えていただけますか?」

またある日は、
「だるい気がして風邪かもしれない。病院に行きたいから連れて行って。とのことですが、食欲もありますし、バイタルチェックも問題ありません。風邪の症状もありませんし、明日の訪問看護の看護士さんに見てもらってからでも遅くないとお伝えしているのですが、元気なうちに行っておきたい…とおっしゃられて…ダメなら市販の風邪薬を飲みたいと。ご家族からお話ししてもらえませんか?」

頭が痛い、胃が痛い、だるい、腰が痛い…ほとんど毎日、何かしらの不調を訴えては市販薬の服用や受診を希望します。

一度詳しく全身の検査をしましたが、どこにも異常はなく、元々の心配性や精神的な不安から来ているものだろうと医師からも言われました。

なるべく、体調の事を考え過ぎないように、レクリエーションに誘ってみたり、楽しく過ごせる時間を作って気分を持ち直してもらおうと頑張っていましたが、毎日の不調の訴えは続きました。

家族も、しょっちゅう連絡が来ることに疲れてしまっていました。

「具合がわるい」の訴えが、狼少年的になってしまい、家族も施設側もあまり真剣に話を聞く姿勢ではなくなっていたことも、本人の不満や不安を増幅させていたのかもしれません。

Aさんの入居した施設は、看護師は常駐していません。
一週間に一度の訪問看護と月に二回の訪問診療でその他の不調は病院を受診することになります。

Aさんのように元々心配性の方や病院などを頼っている人にとって、しっかり判断してくれる人がいる事は、とても重要になって来ます。

ご家族は言います。
「施設に入居する時に、提携病院や訪問看護や診療があると説明を受けて、安心だと思ってしまいました。母のように、心配性で、すぐに不安を訴えることがこんなに問題になるとは思いませんでした。もし、看護師さんが常駐していたりする施設だったら、母の気持ちも違ったかも知れません。だからと言って、はいそちらに移りますと言うことは難しいですからね。そう言うところも最初にしっかり把握しておけば良かった。」

施設選びをする際、何を重要視するかはそれぞれですが、医療的な面のフォローがどこまで出来るかは、押さえておいた方が良さそうです。

そして大切なのは、入居者本人が考える「暮らしや健康に対する安心がどこにあるのか」を家族も知っておく事なのではないでしょうか。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  25 2018 08:00
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