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事例194 “そこまでじゃないんだよね”でも…

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「母親の小ボケエピソード」を知人が話してくれたのですが、少し気になる事がありました。

知人(40代の女性)はシングルマザーで子供達と住んでいます。
彼女の母親(一人暮らし)は、車で30分ほど離れた隣県に住んでいます。

ある日、仕事が終わって家に帰ると母親からこんな電話があったそうです。
「さっきまで、〇〇ちゃん(=孫)が家に来ていたのに、居なくなっちゃったの!どうしよう!」


“〇〇ちゃん”というのは、知人の長女で小学生です。
でも長女は自宅に居ます。
「今日お婆ちゃんの家にいったの?」と聞くと、「行ってない。」と返事が来ました。


母親に、長女はそちらに行ってなくて、自宅にいる事を伝えると、「自宅にちゃんといるなら良かったわ。」という返答でした。

変なの!?と思いましたが、昼寝でもして夢でも見ていたのか、何かの勘違いか、くらいにしか思っていなかった次の日。


夜も深くなってから、また母親から電話がありました。
「〇〇ちゃんと、あなたが今日はうちでご飯食べるっていうから用意していたのに、全然来ないじゃない、どうなってるの!?」

もちろんそんな約束はしていませんでした。
何度説明しても母親は、「そんなはずは無い!」と怒り気味です。

どうしたもんかと思い、夜中に30分かけて母親の家に向かいました。
すると出て来た母親は「あらこんな時間にどうしたの?」と、何事も無かったかのように玄関から出てきたのでした。

驚いて台所をのぞいてみると、用意していると言っていた食事の用意は無く、「さっき電話くれたでしょ?」と言っても、してないと言います。


あまりにも奇妙に思える出来事に、知人は何も言えず唖然として、モヤモヤしたまま帰宅したといいます。

その後、一ヶ月ほど経ちますが、母親は特に変わらない様子で過ごしているそうで、
変な電話もかかって来ないそうです。

知人は「母は歳も歳だし、たまたまちょっとボケちゃったのよ。全く迷惑な話だわよね。」と小ボケエピソードとして笑いながら話をしていましたが、少し気になってしまったので、“もしかして”の可能性を簡単に伝えました。


・独り暮らしで、家族もそんなに顔を出せないとの事だったので、もしかしたら、ほかにも生活動作上「おかしいな?」と思う事が隠れているかも知れないが、家族が気づけていないだけかも知れない。近所の人や友人の話を聞けるようであれば、聞いた方が良いし、今より少しだけ顔を出す回数を増やせるなら、そうした方が良い。

・「おかしいな?」と思った日時と言動を記録しておいた方が良い。

・2件とも夕方や夜間に起こっており、せん妄(※)のような症状にも聞えたので、体調不良(脱水や便秘など)が無いかや、何かストレスを抱えていることがないか、気にしてあげるのも良いかも知れない。もしあるとしたら、受診をすすめても良いかもしれない。
(※)
せん妄とは…時間や場所が急にわからなくなる見当識障害から始まる場合が多く、注意力や思考力が低下して睡眠障害、幻覚・妄想、見当識傷害、情動・気分の障害、神経症状など様々な症状を引き起こします。

・無症状の小さな梗塞を起こしていて、認知症のような言動が起こっている場合もあるので、家族が疑問を感じることがあったら、受診をすすめてみても良いかもしれない。

と言う点を、簡単に話しました。


知人は、「“まさか”と言う気持ちや“あの時はたまたまだったのよ、大げさなことじゃないし”って言う気持ちで、流そうとしている自分がいる反面、“もしかして”って思う気持ちもあったのよ。次に何かあったら、すぐ相談するわね!」
と言ってくれました。

知人は、兄弟がおらず、シングルマザーで小さい子供達がいます。
働きながら子育てをしている中で、親の事も、となると知人ひとりに掛かる負担は増すばかりだと感じます。


誰でも、まだまだ元気な親の姿を見ていると、「あれ?」と思うことがあっても「まぁ、歳だし…」と流しがちになってしまうことも多いと思います。
ですが、これを機会に“もしかして”や“万が一”を現実的に考えた時、自分の生活に関わってくる量_(時間や金銭面など)がどれくらいなのかや、自分一人ではどうにもならないこと、分からないことなどが見えて来る気がしています。

もちろん専門の相談所や病院に気になったときに行ければいいのでしょうが、“そこまでじゃないんだよね”とか“ちょっと気になったぐらいだし”と言う段階では難しいと思います。


『気軽に身近なことを話せる誰か』の存在は、とても大きいのではないかと思っています。

医療・福祉関係者、経験者や家族の他にも認知症サポーター(現在、全国に1000万人以上)など、知識や関心のある人達一人一人が、自分の身近な方の支えになれたら最高ですね。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  13 2018 08:00
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