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事例192 家族のために、しなかった後悔

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介護士の友人(女性)と話していると私も同じ事を思った事があるエピソードがありました。

施設のある部署の責任者を任された彼女は、慣れない管理業務に苦労しながらも毎日遅くまで残って頑張っていました。

彼女は九州出身です。上京して5年。
一年に一度も帰省することなく、身内に不幸があった時くらいしか帰らず、
仕事が忙し過ぎて連絡もしていない状態で、たまに来る母親のメールに返信するくらいだったと言います。


ある日、母親から珍しく電話連絡があり「入院していたおばあちゃんが退院するのだが、認知症と診断され、退院後の生活が不安だ」との話でした。


母親はおばあちゃんと二人暮らしだったため、介護できるのは母親のみでした。
近くに親戚もいません。


友人は母親の不安を聞いて、「介護士の私が田舎に戻ってあげられたら、母親は安心するだろうな」と思いましたが、東京の生活を始めたばかりだし、せっかく任された仕事をやってみたいという思いから田舎へ戻るという選択肢は考えられなかったそうです。

母親には、病院の相談員さんや地域包括センターに相談して、なるべく介護負担にならないようなサービスを使った方が良い。とアドバイスしました。
その時も「相談や手続きに自分が一緒にいられたらスムーズだし、おばあちゃんの状態を自分の目で見てあげられたら、どんなサービスがおばあちゃんにあっているかを母親と一緒考えてあげられるのに…」

そう思いながらも、仕事があるし、ケアマネージャーがつけば相談相手もできるだろう、と自分の仕事を優先にそう考えたのでした。


母親は何にもわからないながら、言われた通り地域包括センターへ行き、ケアマネージャーもお願いして、おばあちゃんにデイサービスを利用させることになりました。

しかし、おばあちゃんは人と関わる事が好きな人ではなく、週に数回のデイサービスでも嫌がり、迎えのバスに乗せるまでが一苦労で、介護負担を軽減するはずのデイサービスでしたが、通わせる事が母親には苦痛になっていったそうです。
さらに、日に日に認知症の症状が進むおばあちゃんの介護は負担が増すばかりでした。

母親がケアマネージャーに相談すると、在宅介護では無理と判断し、グループホームに入所させたそうです。
すると、そのホームも、おばあちゃんにも合わなかったようで、他の入居者とトラブルを頻繁に起こすようになり、退去になりました。

行き場がなくなったおばあちゃんに、母親が困り果てていた時、おばあちゃんの持病が悪化し、入院後そのまま亡くなりました。


母親は言ったそうです。
「おばあちゃんが亡くなって正直少しホッとしてる。また退院になって、さらに認知症の悪化した状態を介護すると思ったら、考えるだけで本当に辛かった。」
久々におばあちゃんの葬儀で会った母親はずいぶん痩せていたといいます。


友人は、母親の言葉や姿から、「一体私は何をやっていたんだろう。」という気持ちになったといいます。

仕事では、見知らぬ土地の高齢者のために介護をし、その家族のために相談にのり、少しでも助けになりたいと働いていたのに、自分の大切な家族が大変な時に何もできてないじゃないか。

仕事が忙しいことには間違いはなく、今後の自分のために今頑張らなければいけない時だったことも確かでした。

でも、困っているであろう母親に電話の一つでも入れられたはず。
会社に事情を話して休みをとれば、顔出しくらいできたはず。


そんな考えが巡って
“私は一体何をしていたんだろう”
と思ってしまったそうです。


実は、私も同じような体験がありました。
私の母親もおばあちゃんを一人で介護していました。「あんたが帰って来てくれたら、心強いんだけどね。」そう言われましたが、私も当時施設の管理者をしており、考えが仕事優先でした。

介護サービスの申請や施設選び、今後の生活のことなど、母は色々相談したい事はあったと言います。
しかし、子供達はみんな仕事で忙しから、連絡したくても控えていた、と後から知りました。
実家には母の妹が時々来てくれていて、母はそれで随分助かったといっています。

“私は介護士なのに、自分の家族が大変な時何もしてあげられなかった”
私も友人と同じく、そんな思いを感じました。


友人は今現場の責任者として大切にしていることがあるといいます。


それは、自分と職員の家族を気にかけること、だそうです。

職員の家族が病気になったり、入院したりした際は、自分から経過や病後を気にかけることにより、必要であれば休みを取れる状態にしたり、現場のチームでフォローしあえる環境を作っているそうです。
時には旅行や家族サービスのために時間を取ることも必要と考えているそうです。

友人は「介護士は誰かのためになりたいと思って働いています。でも、自分の家族のためになれなかったとしたらは寂しすぎる」と話ていました。


実家から離れて暮らしている方も多いと思います。
家族の誰かが助けが必要な時、あなたはどのくらい力になれるでしょうか。
また、家族間でどのくらい助け合えるでしょうか?

考えてみる時間があってもいいかも知れませんね。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  30 2018 09:12
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