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事例182 九死に一生の時に浮かんできた笑顔

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先日、施設のおばあちゃんAさんが子育てをしていた時の事を教えてくれました。

Aさんの暮らしていた町は漁師町で、子育てをしながら、海苔を取る仕事をしていたそうです。
子ども達はまだ小学生で、Aさんは子どもが学校に通っている間に働いていました。

ある日、海苔取りをする場所へ移動するため、沖近くの消波ブロックの上を歩いていた所、突然の高波に足をすくわれて、そのまま海に落ちてしまいました。
海底が確認出来るくらいまで深く沈んでいてしまい、もうダメかも知れないと思った瞬間、ふっと頭にある映像が浮かびました。
そしてその映像のおかげで、『なんとか生きなければ!』と、力が湧いてきたといいます。

それは“子ども達の笑顔”だったそうです。

「私はこの子たちを守る為に、死ぬ訳にはいかない!」

そう、心の中で思った瞬間に力が湧いてきたと言います。
もがいてもがいて、やっと海面に頭を出せた。
漁師仲間が、縄を投げ入れてくれて、消波ブロックを無我夢中でよじ登った。

今考えてみれば、仕事用の防水の胴付き長靴を履いていたため、中に水が入ってかなり重かったと思うし、
何メートルもある消波ブロックをロープ一本でよじ登るのは、火事場の馬鹿力だったと思う。

その全ての力の源は、海底で頭に浮かんだ“子ども達の笑顔”の映像だったといいます。
家に帰って、何も知らない子どもたちに、「ありがとうね」と言って涙が出てしまった、といいます。

「子どもに涙を見せたのはそれくらい。この話をすると、前も聞いたよ、分かった分かった。って、もういいよ、みたいに言われちゃうの」
そう言って笑っていました。

分かったよ、と言いながらも、子どもたちからすると親の愛情を感じる時なのかもしれません。


私も、話を聞きながら小さい時の事を思い出していました。
父親と私が交通事故に遭ったことがあり、その時病院へ運ばれる救急車の中で父は、意識が朦朧とする中、私の名前をずっと呟いていました。
「子どもさんは大丈夫ですから、もう喋らないで下さい。」そう救急隊に言われても、私の名前をずっと呼び続けていた姿が、子どもながらにとっても衝撃で、自分の命よりも子どもの事を気にする親の愛情を感じました。

普段は、なかなか話す事がなかったり、喧嘩をしたり、意見が合わなかったり、色んなことがある家族ですが、ふと、このようなエピソードを思い出す時、深い繋がりや想いを感じる事があるかもしれませんね。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  21 2018 08:48
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