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事例180 施設に預けたことの後悔

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『穏やかに暮らしていただけるよう支援します。』
母親を施設に預けた友人が、この言葉に後悔をしていました。
友人は、在宅介護を長く続けてきましたが、待機待ち状態だった数か所の施設の一つに空きが出たため、母親をそこに預けることにしたのでした。
母親は料理を作ったり、一人でお風呂に入ることには不安はありますが、自分でできることも多いです。友人も在宅介護を続ける自信がまだありましたが、これを逃せばいつ順番が回ってくるか分からないと思い、入所に踏み切りました。

母親の現状を知るため、施設の担当者が自宅に訪問(アセスメント)にきたときのことです。

「お母様は日中どんな風に過ごしていますか?」と聞かれたので、
「身の回りのことは手助けが必要ですが、歩行はゆっくりであればできるので、たまに散歩に連れていきます。最近は足腰が弱ってきて、歩ける距離も短くなってきました。転倒には気をつけています。
食べることも好きですから、たまに連れ出してお蕎麦屋さんに行ってみたりしています。
趣味みたいなものはありませんが、テレビの歌番組は好きで鼻歌なんか歌ってみています。
なんでも自分から、と言うことがないので、声をかけてくれたらなんでも参加する人です。」

担当者はメモを取りながら、知人のコメントにこう答えたそうです。
「そうですか、転倒には気をつけたいですね。お年もお年ですから、無理せず、怪我のないよう、穏やかに過ごしていただけるよう支援させていただきます。」

母親が入所して数か月…みるみるうちに歩けなくなり、食事も一人では食べられなくなり、会話すらも成り立たないくらいに状態が落ち込んでしまったそうです。
知人は、施設のせいにはしたくないけれど、そう思いたくなるような現状を目にしていたといいます。いつ訪問しても、ベットに寝かせられているか、食堂のテーブルで何もせずにただ座っている。
スタッフは忙しそうに居室を回っているか、事務所で何かを書いている。
毎日見ているわけではないし、お世話になっているという気持ちもあり、今以上何かをやってほしいという希望も伝えられないまま時が過ぎてしまった、とのことでした。

友人は言います。
「今回の施設を断って、もう少し自分で頑張っていたらこんな状態にはならなかったかもしれない。もしくは、担当者が自宅に来た際に、どんな日常を送ることになるのかをしっかり聞いておけばよかった。
確かに、いつもベットに寝ていてくれたり、文句も言わず黙って座っていてくれたら、転ばないし、安心かもしれない。
無理せず穏やかに暮らす支援というのはこういうことだったのか…せめて、散歩や外食のような、普通の日常にあることくらいはできないのだろうか…とがっかりしました。」
友人は施設に入れたことを後悔しています。

介護施設に入ったことによって、後悔になってしまったことが、非常に残念です。

友人には、「お世話になっている」というその気持ちはしっかり表現したうえで、施設にやってほしいことや家族としての希望を伝えることは、わるいことではなく、むしろとても大切なことなのだということを伝えました。
施設では、事前にアセスメントをする人と、実際のケアを行う人が違う場合があります。もしかしたら、アセスメントで、友人が話したコメントがうまく現場に伝わっていない可能性もあります(実際は、しっかり伝わっていなければいけないのですが…)。
さらに、ご本人の状態によって家族の思いも変わってきますので、出来れば、面会に行った際にその時勤務しているスタッフに現状や日常の過ごし方を聞いて、家族としての思いを伝えられることがベストかと思います。

施設側としては、家族の思いに添えているのか、都度確認する必要がありますし、家族に変な気遣いをさせない信頼関係づくりがもう少し必要な気がします。
現状を報告するときも、出来なくなったことや病状のことだけではなく、喜んだり感動したり、笑顔になったり…そのようなことを合わせて報告することを念頭に置いていたら、もう少し入居者との関り方も変わっていたことでしょう。

友人は、面会に行った時にはスタッフさんとは挨拶くらいで、あまり話をしなかったので、いろいろ聞いてみることから始めてみる…と言っていました。

後悔の気持ちが少しづつ少なくなってくれるといいな…と思っています。
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Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  07 2018 08:00
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