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事例179 「死」をよくあること、で終わらせてはいけない

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介護士をしていたことがあります、という女性から、介護士をやめた理由を聞くことができました。
そこから介護士の「死」の受け止め方について少し考えました。 以前介護士をしていたAさんの勤めていた施設には、大好きだったおじいちゃんにそっくりの利用者さんがいたのだそうです。
その利用者を見ていると、おじいちゃんを見ているようで、自然と思い入れが強くなっていたといいます。

ある日その方が亡くなり、Aさんはショックでしばらく立ち直れずにいたそうです。
思い入れの強い方だっただけに、ひどく落ち込んでいると、職場の上司から
『一人の人に入れ込んだり、亡くなっただけで、そんなに落ち込んでいられたら困る。ここはそういうのが当たり前の職場なんだ。』と言われたそうです。

Aさんは言います。
もちろん、一人の人にあまり入れ込んではいけないことは分かっています。
でも、あまりにもおじいちゃんに似ていて、親近感があって、気持ちを抑えられなかった。
それに、亡くなったことに対する悲しみや思い出を共有することもなく、あっさりとしている上司たちを見て、そんな気持ちの方々と働くなんて…と思ってしまい、辞めてしまったといいます。

介護施設において「死」に向き合うことは非常に多いです。
「死」を受け止める時、その人ひとりひとりとの、関わってきた時間や信頼関係や思い出などによっても悲しみの重さも変わってしまうのが正直なところです。

確かに、Aさんの上司が言うように、介護の職場で一人の方に入れ込んでしまうことはあまり良いことではありません。平等に接することが基本ではありますが、そこに『相性』や『信頼関係』のよさが関わってくると、多少の思い入れが発生することも確かです。

Aさんの場合は、大切な家族に似ている方だったということは、家族が亡くなったときと同じくらいの気持ちを持ったことと思います。

Aさんの上司はもしかしたら、介護の職場では、こういうことが多いのだから、気持ちの切り替えが早くできるようにならないといけないよ。と言うことを伝えたかったのかもしれません。

「気持ちはわかるよ。ご家族に似ているって言っていたものね。」とか、「あなたを頼りにしている人が施設には沢山いるのだから、しっかり気持ちを切り替えようね。」とか、
少しの共感や後押しがあっても良かったのかもしれません。
言葉が足りないだけで、大切な職員を失ってしまうことは寂しすぎます。

「死」に向き合うとき、様々な気持ちが生まれます。
「ありがとう」「お疲れ様」「頑張ったね」「まだまだ〜したかった」「〜してあげられなくてごめんね」

ひとりひとりその人にかけてあげたい言葉が違うように、その思いも違うはずなのです。
そのそれぞれの想いを理解し合う気持ちが大切で、想いが深い人こそ、それを分かりあえる人がいることで、また前を向けるようになる気がしています。

介護士にとって、
「死」は『よくあること』で終わらせてはいけないような気がしていています。
「死」は『介護の仕事によくあることだから、人一倍命の大切さを知ることができる』と思っています。

Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Sat,  02 2018 01:06
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