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事例178 介護・子育てしながら働く職場

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あるセミナーで知り合った女性の話です。

50代のAさん。
30年前、まだ20代だったころ、母親が病気になり後遺症からほぼ寝たきりになり、介護が必要になったのだそうです。
父親はすでに亡くなっており、母親には兄弟がおらず、親戚との付き合いは無し。
Aさんにも兄弟はおらず、完全に一人介護状態になってしまったのだとか。

介護サービスのこともよくわからないまま、働きながら必死に自宅で介護をしていたそうです。

最初のうちは無我夢中だったそうですが、3〜4年経ったある日から、なんで私だけがこんな目に。介護のせいで自分の時間もない。好きにお金も使えない。
そういう気持ちが出てきたそうです。

20代、周りの友人はみんな楽しそうで、結婚や出産の知らせを聞くたびに、恋愛さえ気軽にできない自分が辛くなっていき、周囲との付き合いも疎遠になっていったといいます。

時々、病気の関係で入院になった時は正直ほっとして、介護から解放される!と、嬉しくてたまらなくて、飲みに行ったり、遊びに行ったりしたいな…って思ったけど、介護生活が長いせいで、気軽に話せる友人が周囲にいなくなっていたそうです。

そのAさんの唯一の救いになったのが、会社だったそうです。
Aさんは介護をしながら、OLとして正社員で働き続けていました。それを出来た理由が、介護生活に対して、とても理解のある会社だったからだそうです。

介護生活のことを会社に打ち明けたある日、上司からは、「なんで早く言わないんだ!」と言われ、その後…

・昼間の休憩時間は少しくらいオーバーしても構わない。(会社が自宅に近い為、母親の様子を看に帰宅していた。)

・突発的なことがあったら、いつでも上司や同僚が仕事を変われるように、情報共有してもらっていた。

・会社内で、Aさんが介護をしながら働いていることを共有した。(どんな介護状態なのかを、具体的に報告する義務があり、話せる部分が社員に共有された。)


10年ほどの介護生活の末、母親の死で介護は終了しました。

その後、Aさんは結婚し、子供が出来ましたが、今もまだ同じ会社で正社員で働いています。

子育てが始まると、介護をしていた時のように、突発的なことがあるかもしれないから…と、上司からAさんの仕事内容は誰かが共有するように指示がありました。

子供が突然熱を出しても、風邪を引いても、当たり前のように、誰かがすぐに対応できる状態だったといいます。

いまは、子供に手がかからなくなったので、会社に恩返しをするつもりで誰かのピンチには積極的に協力するように働いている、といいます。

Aさんは、会社が介護や子育てに理解を示すことについての良さをこんな風に言っていました。

「家族のことで困ったとき、当たり前に助け合う仕組みが会社にあったことで、孤独を感じることがありませんでした。
それに、介護や子育ての具体的な内容をみんなが把握することで、それを体験したことのない職員が現実を知るいい機会になったと思います。
ある日全然違う部署の人が、親が介護が必要になったから、と言って、私のところに相談に来たこともありましたよ。
会社全体が、いい雰囲気ですよ。ほとんどの社員が、長く勤めています。」

『生活と仕事は別ではない。』とAさんの会社の社長はよく言うそうです。

Aさんは上司という立場になり、社長から、部下の日常生活に目を向けなさい。と、言われたそうです。
日常生活に干渉しろ、深入りしろ、ということではなく、仕事に対して前向きになれる環境や気持ちでいるかどうかを感じなさい。
という事のようです。


みなさんの周りはいかがでしょうか?
介護や子育てをしている人が、肩身がせまい思いをせず、心身ともに健康で働ける場所がありますか?
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  24 2018 00:08
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