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事例171 人手不足のせいにはしたくないけれど

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介護施設では、常に人手不足で毎日ギリギリの人員で業務をまわしているところがあります。
業務と言えば、
入居者の身体介助、認知症の方への対応、入浴、食事づくり、買い物、清掃などの環境整備、洗濯、記録…


例えば、
・身体介助でおむつ・パット交換や体位交換等がおろそかになれば、皮膚疾患を起こしてしまう可能性があります。
・物取りの行為がある認知症の方への対応で、見守りを怠れば、他の方の部屋に入って何かを取ってしまったりするトラブルがおこります。
・清掃等の環境整備を怠れば、不衛生ですし、家族が来所した際、とても残念な気持ちになるでしょう。
・記録の漏れがあれば、次の職員への引き継ぎがうまくいかず、やらなければいけないことを出来ていなかったり、大切なことが伝わらず介護事故に繋がる可能性があります。

日々様々に、気をつけなければいけないことだらけなのです。

さらに、暮らしの楽しみや満足度を上げていく為には、
レクリエーション、体操、散歩、行事、イベント、入居者の趣味の継続…
など、様々なことを、時間を見ながら行なっていかなくてはいけません。


そんな施設で働く友人の話です。
友人の施設もまた人員配置がギリギリでなのですが、毎日忙しいながら、出来る限りのことをしようと頑張っています。

特に今年のお花見には気合いが入っていて、それには理由がありました。

きっかけは昨年のことです。
90代の入居者の女性がこんなことを言いました。
「もう歳も歳だし、来年の桜が見れる保障なんてない。だから、一年に一度くらいは皆でお花見がしたい。」
普段どこかに行きたいとはあまり言わない方が、桜の時期にそう言ったそうです。

数年前まで、スタッフがまだ充実していた頃は、行ける人全員で外出レクにしましょう!といって、出かけていたのですが、年々スタッフの数が減り、募集をかけても入って来ない。

ギリギリの人数で業務をまわしている関係で、外出レクを企画することも出来ず、2〜3人で近くの公園に散歩に行って小さな桜を見ることぐらいしか出来ていなかったそうです。

そんな昨年のある日、施設内の数人のスタッフが同じ時期に体調不良を起こしてしまい、ギリギリの人数どころか、数日間1つのフロアを1人で見ることになったのだそうです。

ちょうど桜が満開の時期。
外出レクどころか、散歩にすらいけない状況。
テレビではニュースの度に「桜満開」のしらせ。

その入居者の女性は、スタッフが大変そうにしている姿を察して、テレビを見ながらポツリと言ったそうです。
「今年はテレビでお花見かな。。。」

友人は、その言葉を聞いて、なんとかしなくてはいけないと思いつつも、どうすることも出来ないことにとても胸を痛めたそうです。
やっと、散歩の時間が取れた頃には桜はもう葉桜になっていて、でも「連れてきてくれてありがとう」と言ってもらったことに、涙がこぼれる思いだったと言います。

そんな経験から友人は「今年こそは満開の桜を一緒に見るんだ!」と、気合いが入っていました。
幸い、90代のその女性もお元気でいて、また桜が見られることをとっても楽しみにしているそうです。

高齢になり、今年が最後かもしれないと思って過ごしている方もいることを考えると、スタッフが足りないことが理由で何もしてあげられないという事実は本当に悲しく思います。

スタッフが出来なければ、家族に協力を仰げないか、介護タクシーを使ってドライブでも良いのか、外出同行の事業所を頼めないか、様々に考えることも出来ますね。

「今日目が覚めて、生きられることに感謝」
90代の女性の口癖だそうです。

どなたにも今日の日がより良いものであるように、最大限お手伝いしたいものです。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  05 2018 08:00
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