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事例170 いくつになっても尽きない子供への思い

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施設での夜のことです。
入居者の女性Aさんの部屋から、ぴぴぴ…と音が聞こえて来ました。
最初はなんの音だろうと不思議に思っていましたが、よ〜く聞くと、携帯(ガラケー)のボタンを押す音でした。

その音はしばらく鳴っており、多分30分以上は鳴り続けていたと思います。

随分長く携帯を触っているな、と思っていると、
しばらくすると、今度は電話をかける声が聞こえました。
話し方からすると留守番電話だったようです。
「○○ちゃん(娘さんの名前)、メールが面倒だから電話しちゃった。元気にしてる?たまには電話ちょうだいね。それだけよ。じゃぁね。」


Aさんは、娘さんに「元気にしている?」という気持ちが伝えたくて、メールを打っていたんだと分かりました。
しかし30分もぴぴぴ…と音が聞こえてきたということは、頑張ってメールを打っていたんだな、と思うとすごくけなげな気もしてきました。


次の日、Aさんに何気なく、家族にメールをすることがあるのか聞いてみると…

「娘たちは、仕事もあるし、家のこともあるし大変なのよ。でも、やっぱりたまには声が聞きたくてね。でも、電話をかけたら迷惑なんじゃないかって考えると、メールでも入れておこうかな。ってなるわけ。で、一生懸命メールをやってみるんだけど、なかなか前に進まないのよ。別に長話を送ろうってわけじゃないのよ。最近どうなの?くらいのものよ。頑張るんだけど、一文字間違えて前に戻ろうとしたら、全部消えちゃったり、変換を間違えたら直せなくなったり。散々やって、面倒になっちゃって、電話することが多いわね…」

以前娘さんたちからは、Aさんからしょっちゅう電話がかかって来て困っている。と話を聞いたことがあります。

でも実は、Aさんは娘さんたちのことを気遣ってメールをしようと長時間頑張ることもあるのにうまくいかないんですね。

今度、娘さんにお会いしたら、このことを伝えてあげたいと思っていますし、Aさんがメールに慣れるように一緒に打ち方を練習する機会があっても良いと思っています。


Aさんがメールを打っていた同じ日の夜、夜中に近くの国道を消防車が数台サイレンを鳴らしてものすごい音で走っていきました。

すると、Bさんの部屋から、携帯で誰かと話す声が聞こえてきました。
「今、施設の脇をものすごい消防車が通っていったよ、そっちは大丈夫かい?周りも問題ないかい?」多分近くに住んでいる息子さんにかけたのだと思います。

施設で働いていると、入居者の家族への思いを感じることが出来る機会が沢山あります。

いくつになっても子供への思いや心配はつきないものなんですね。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  29 2018 09:34
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