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事例161 入居者が使う携帯電話

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介護施設での、家族からの相談事というのは様々あるのですが、よくある内容の一つに『携帯電話の使用』についての相談があります。 例えば施設ではこんな相談がありました。

入居者の80代のAさんは、物忘れが多くなってきたくらいの元気なおばあちゃんです。
家族との連絡はご自分の携帯電話(ガラケーで、電話以外は一切使いこなせません)を使用しています。

最近家族に対して、「次はいつ来るのか?」という電話を、毎日かけるようになってきたのだそうです。しかも、かけたことを忘れて一日に何度もかけることもあるので、家族は困っています。
毎日かけておきながら、行くよ、と言っていた日に家族が訪問すると、来るということを忘れて外出していたりするものだから、家族としては怒り心頭、と言う気持ちのようでした。

Aさんのご家族は日時や約束を忘れないような工夫をしました。
カレンダーに予定を書いて貼っておいたり、張り紙を毎日使うトイレや部屋のドアに貼っておいたりしたのですが、なぜか『忘れてはいけない』と言う意識からか、大事に棚の中にしまっておいてあったり、張り紙はたたんで財布の中に入れてあったりして、目に見えるところに置いておくことができません。
大事にしまったことも忘れてしまうため、毎日かかってくる電話をどうやって解決すればよいか、と相談してきました。

家族からは「携帯電話を使えなくした方がよいでしょうか?」と言う意見もありましたが、もう少しできることがありそうだ、と思ったので、いくつか提案をさせてもらいました。
安易に携帯電話を没収してしまうと、今まで気になったときにつながることができた、家族や友人との距離が離れてしまうようで、孤独感を強く感じるようになってしまうこともあります。
外部との連絡が途絶えることによって、うつや引きこもりなど、健康状態にも影響が及ぶ可能性があります。

提案させていただいたことは…
1、Aさんに「スタッフが分かってくれている」という意識付けをする。
スタッフと家族が協力して、次にいつ家族が訪問する日かを聞いておき、スタッフから一日に何度か「次娘さんが来るのは〇日ですね」と声をかけることによって、忘れたらスタッフに聞けばいいんだ、と言う意識付けをしていくと、娘さんの負担も軽減するかも知れない。

2、家族に「自分たちから連絡をとる」意識付けをする。
家族としては電話がかかってくるから、気分良く感じないということも考えられます。Aさんが忘れてしまうということを前提とし、家族側から何度か連絡を入れてみると、かかってくるより気持ちが違うかもしれない。

3、Aさんに日中の役割を持っていただく。
一日に何度も連絡をとるということは、それだけ気になる時間があるということかも知れない。
一日に日課や楽しみや役割がある施設と、特に何もすることがなくぼーっとしてる時間が多い施設、両方に入居している方の意識の向く方向を想像してもらえればよくわかる通り、やることがなければ、携帯電話を見る機会が増え、少しのことでも気になってしまう可能性がある。

結果は、まずは1と3を試してみましょう、という話になりました。

携帯電話は私たちにとってはなくてはならないものになってきました。
これから施設へ入居しようとする方が、携帯電話を持っていることは普通になってきます。
携帯電話の使用に対する私たちの対応も、しっかり考えていかなくてはいけない気がします。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  25 2018 09:55
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