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事例集012 台ふきんから学んだこと

私がはじめて勤めた施設は千葉市内にあるケアハウスです。

65歳以上のお元気な方々が入居する施設でした。



そのケアハウスでの介護スタッフの役割は主に、環境整備やイベント企画などで、身体介護はほとんどありませんでした。

食事の時間には、暖かい物は暖かく、冷たい物は冷たいままで提供できるように、入居者の方が食堂にいらしたタイミングにあわせて食事を提供する配慮をしたり、食事を渡すカウンターからテーブルまでお盆を持って運べない方には、配膳のお手伝いをしたりしました。



入社して初めての食事の時間。

私は先輩に教えてもらいながら、準備や配膳の仕方を勉強していました。



お箸は右に持ち手が来るように。

ご飯は左、お味噌汁は右。

焼き物、煮物は左奥。


配膳の基本ですが、分かっているようで知らなかったことも再確認でした。




食事の時間も終わりに近づき、空いたテーブルから拭いてくるようにとの指示を受け、台拭きんを持って2〜3テーブルまわっていたときのことです。
それを見ていた入居者のお一人が、帰り際に先輩スタッフに何かを話して帰ったのが目に入りました。「私、何かしましたか?」と聞いてみると、こんなアドバイスでした。



「あの新人さんに、テーブルの拭き方を教えて上げて下さい。」


(え?え?)



私は元々、家事仕事が好きで、実家にいるときはいつも母の手伝いをしていましたし、テーブルの拭き方くらい分かってる!と、内心反発したい気持ちがありながらも、どういうことか聞いてみると、納得のお話でした。




私は、テーブルがさほど汚れていなかったので、四つ折りにした台ふきんを使い、その一つの面だけでテーブルを拭いていたのですが、
入居者様がくれた具体的なアドバイスはこういうものでした。




「ここはたくさんの方が使用する食堂ですから、どんな汚れがあるか分からないでしょう。台拭きんを8つ折りにして一往復したらひっくり返し、また一往復してはひっくり返して拭くものです。一つの面でたくさんの場所を拭いていては、汚れを広げてしまっていると同じです。」




見た目だけ綺麗になっていても、そこに細やかさや思いやりがなければ、本物の仕事ではないということを、教えて頂いたような気がしました。



そのことがあってから、食事のことだけではなく、どんな仕事に対してもそう思えるようになりました。

アドバイスをくれた入居者様に、今でも感謝しています。

「自分が言ってしまうと、きつく感じちゃうかもしれないから。」
と、先輩に話して下さったのだということを後から聞いて、自分の胸に湧いた少しの反発心が
少し恥ずかしいような気持ちになりました。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  19 2015 08:00
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