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事例150 介護士という仕事の魅力

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医療・介護関係者の集まる会に参加した際、隣の席に座った20代の介護士の男性との話です。

彼は、介護の仕事を始めて3年です。
以前は建設関係の現場で働いていたそうです。

自宅の近くに介護施設が建ち、介護士を募集しているのを見て、なんとなく介護の仕事ってどんなものだろう…と、面接を受けてみたら受かってしまったのがきっかけだそうです。
興味本位で介護士を始めたにせよ、畑違いの仕事から転職された方に興味があったので、いくつか質問をしてみました。

私:「畑違いの仕事から移って、世間の評判通り、やっぱり介護って大変なんだなって思いましたか?」
彼:「いえ、建設関係の仕事は体育会系です。上司からは罵声や拳が飛んでくるのは日常茶飯事です。それを考えれば、穏やかな職場だと思いました。」

私:「下の世話などに抵抗はありませんでしたか?」
彼:「その点はそれほど気になりませんでした。むしろ、抵抗があったのは、“年配の人たちとの会話”の方です。これだけ年の離れた人たちと、いったい何の話をしたらいいのか、さっぱりわかりませんでした。抵抗があったのは、コミュニケーションの部分ですね。」

私:「なるほど。苦手なことがあっても3年も続けていらっしゃるのは何か理由がありますか?」
彼:「実は、私が入社してほんの数日後の出来事だったのですが…。
先輩介護士が私にあるチャレンジをさせたのです。それは、入居者のおばあちゃんに入浴してもらえるように声をかけることです。私が担当することになったおばあちゃんは、お風呂がとにかく嫌い。先輩介護士たちですら、どんな声掛けをしても入浴してもらうことができずにお手上げしてしまうくらいの方だったのです。
入社して数日、おばあちゃんのこともあんまりよく知らなかったし、コミュニケーションの取り方もよくわかってなかったし、お風呂に入ってもらうためのコツなんて知らないし、ただ、『このおばあちゃんはお風呂が嫌いだから、入ってもらうのが難しい人』しか知らないまま、とりあえず「こんにちは」ぐらいの挨拶から声をかけて普通にお風呂に誘った気がします。
すると、驚くことにすんなり入浴してくれたんです。それを聞いた先輩介護士たちは奇跡だと言って驚いていました。私にとって、その出来事は本当に嬉しかったんです。特別なことを言ったわけでも、したわけでもないのに、すんなり受け入れてくれたのです。先輩たちは、あなただから入ったんだね。って言ってくれました。
ここには自分にしかできない仕事があるんだなって思いました。その出来事があったから、介護士を続けようって思いました。
それから今では、楽しく仕事をしています。コミュニケーションもだんだんとれるようになってきて、今度秋の運動会の企画をやるんですよ!今みんなでなんの競技にするか考えているんです…」

彼が嬉しそうに、話をしてくれていたので、本当に楽しく仕事をしているんだな…と感じました。

どんな仕事でもそうですが、仕事を続けるにあたって、自分自身の知識を広げたりスキルを高めたり、日々勉強が必要な時があります。
介護の仕事で言えば、食事・入浴・排泄介助の仕方、レクリエーションの組み立て方、家事全般のやり方、介護にまつわる制度やサービスについて、病気や薬の知識…
勉強すればするほど、知識やスキルも上がっていきます。
でも、介護の仕事の中では、どれだけ知識やスキルを磨いても、敵わない問題に出くわすこともあります。

例えば、今回の話で、彼が聞かせてくれたくれたお風呂の嫌いなおばあちゃんは、なぜ知識もスキルもない彼の声掛けですんなり入浴できたのでしょうか?

時にその問題を解決できるのは、その人の顔・表情や性格や醸し出す雰囲気や声だったりするんです。
息子や娘や孫に似ていてる、話し方が好き、好みのタイプ、気が合う…
まさに、『その人』にしか解決できない問題があるのです。

あなたがいるから安心できる、あなたと話していると楽しい気分になる、あなたと一緒ならやってみようかな…こんなうれしい言葉をかけてもらえることがあるんです。

彼が仕事を続ける理由になったように、自分がその『あなた』になれたとき、心の底から喜びがあります。
これも介護士の魅力の一つだと思っています。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  09 2017 08:00
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