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事例136 介護士は身体介護だけをする人ではない

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先日、高齢者施設で健康体操教室をしている知人と話をする機会がありました。

その友人は、これまで施設や介護にまつわる仕事をしたことはなかったそうです。
以前の仕事としては、アミューズメント施設のスタッフや舞台などに立っていた方です。
その方がなぜ、高齢者施設の体操のインストラクターをやっているのか、聞いてみました。

するとこんな答えが帰ってきました。


「人前に出ることは嫌いじゃないし、自分がアクションしたことで誰かに喜んでもらえるなら。そう思って始めました。最初は、施設や介護の仕事に関わったことがなくて本当に不安でした。でも高齢者の方々と関わって、一緒に笑ったり楽しんだり、時には出来なくなったことが出来るようになったと喜んでもらったり、楽しかった!また来てね!といってもらえることがとてもやりがいに感じてきました。イベントのお仕事の時にも同じような喜びがありましたが、施設のお仕事は、お互いの喜びが数倍になったように感じます。」

“施設の仕事にやりがいを感じている”、そうおっしゃったのでこんな質問をしてみました。

私:「介護の仕事には興味がわきませんか?」
知人:「それがですね…私には介護士さんは無理です。給与のこととかは別にして、私には出来ないと思う理由があって。それは、下の世話です。考えただけで、無理だなーって思います。他人の汚物を処理するって考えられなくて…。」

私:「なるほど、そういうこともありますね。その部分は介護の仕事のほんの一部なんですけど、精神的なダメージはとっても大きいんですよね。介護される方もする方も。ただ、介護の仕事って、下の世話とか食事の介助をするとか、日常生活の介助をする人って良く言われるんですけど、実際はそれだけじゃないなって思ってます。」
知人:「どういうことですか?」

私:「高齢者に限らずですが、生活していく中で、ご飯を食べる、トイレをする、寝る、お風呂に入る。これだけで満足でしょうか?仕事をしたり、テレビを見たり、ゲームをしたり、人に会ったり、音楽を聴いたり、それぞれ自分のやりたいことが出来てこそ生活が成り立っていますよね。施設に入ったからといって、何にもない生活じゃ、“生きている”、という感覚がとても寂しいものになっていく気がします。」
知人:「なるほど、私がやっていることも、少しは皆さんの生活に貢献できることがあるってことですね」

知人は介護の仕事にとても興味を持ってくれました。


介護士の多くは、誰かの為になりたいと思っています。
まずは基本的に生活する上でなくてはならない身体介護のスキルを学ぶことはとても大切です。
そしてそれに長けている人は沢山います。

でも、楽しみを作ること、生活の満足度を上げることを考えると、「何をしたらいいか分からない、どう企画したらいいか分からないから、レクリエーションの担当になるのが辛い」とか、「行事やグループワークで人前に出て指揮をとるのが苦手」という介護士が意外と多いのです。

そんな時に、この友人のような、人前に出るのが苦ではなく、自分から楽しみを作ることに長けている人というのは、介護施設で絶対に活躍してもらえると思うんです。
もちろん身体介護も楽しみを作り出すことも、皆がバランスよくできれば最高ですし、出来ないことを少しずつ勉強していくことも必要だと思いますが、得意分野を学びあうことがあっても良いと思います。

介護士=資格があって身体介護をする人。
ではなく、『生活を支える人』ととらえることが出来れば、介護士の役割の幅も広がりますし、社会的なイメージも変わっていくんじゃないかと思っています。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  03 2017 08:00
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