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事例126 誰かに相談できること〜赤ちゃんポストのニュースより〜

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グループホームにて、昼食後、入居者の90代と80代のおばあちゃんと私と、3人で雑談をしていると、90代のおばあちゃんAさんがこんなことを打ち明けてくれました。 「私はね、両親がいなくて育ったの。私が赤ちゃんの頃に二人とも病気でなくなってね。親戚のところに預けられたの。物心ついてから、育ててくれていたのは本当の親では無かったと教えられた時、やっぱりショックだったわよ。でも、病気でなくなっているんだから仕方ないじゃない。すぐに育ててくれた親に感謝の気持ちがわいていきたわ。」


ちょうどこの頃、テレビのニュースでは熊本市の慈恵病院のコウノトリのゆりかご(赤ちゃんポスト)が開設10年目を迎えた、と流れていました。
赤ちゃんポストとは、親が育てられない子供を匿名で預けられる施設で、これまで125人の子ども達が預けられたのだそうですね。


親子の話になったので、このニュースについて、おばあちゃん達にどう思うかたずねてみました。


「最近ニュースで、赤ちゃんポストの話題があって(赤ちゃんポストについて説明)、このような施設があることについて、どう思いますか?」


90代Aさん
「とってもいいことね!昔にくらべたら、いい施設が出来たものね。
昔は“捨て子”という言葉があって、訳があって子供を育てられない親が、お寺やお店屋さんの敷地に置いていくということが結構あったみたいなのよ。子供を捨てた親は、その子がどんな人に拾われていくのか、影でこっそり見ているなんてこともあったみたいよ。今はちゃんと病院に預けられるんだったら、置いていく親も安心だわね。」


80代Bさん
「本当ね。いい世の中になったわね。でもね、色んな理由があるにせよ、親がいない子供を増やさないようにして欲しいわね。私の知り合いにも捨て子だったって言う人女性がいてね、もうその人は70歳近いのだけど、度々、自分の親はどんな人だったのだろう。なんで捨てられたのかも分からないのは辛いって言ってたんだよね。今はもう結婚していて、子供や孫もいるんだけど、自分が親になったからこそ、自分を捨てた親はどんな気持ちだったのだろうか…と考えてしまうことがあるっていってたわ。自分の人生の中に、親がいないと言うことが、ずっとつきまとってくんだって。だから、その赤ちゃんポストって言うのも、本当に困っている方が利用するのは良いかもしれないけど、預ける場所があるから大丈夫だろうって言う、簡単な考えの人が増えないようにと願うわね。」


90代Aさん
「そうね。私なんかは、生んでくれた両親は早くに亡くなったから、物心ついて真実を知ったときも、仕方なかったんだって思えたけど、親がいない理由を何も分からないまま大人になっていく気持ちを考えると、ものすごく複雑なんだと思うわね。難しい問題よね。」


80代Bさん
「ポスト置いていく前に、誰かに相談するって言うことは難しいんだろうね。恥ずかしいとか、近くに相談できる人がいないとかなのかなぁ。私は、自分が生んだ子供を、数日で亡くしたの。60年以上経ってもその子のことが忘れられないわ。子供を産んだ親って言うのは、一生忘れられないと思うのよね。生んだ子をポストにおいていく親のこれからの気持ちとか、親がいないまま育っていく子供のこととかを考えると、やっぱり、ポストに入れる前に、誰かに相談して欲しいなって思うわね。」



赤ちゃんポストについては、世の中の声も賛否両論ありますね。
慈恵病院の赤ちゃんポストは、最終手段なのだそうです。
“赤ちゃんポスト”という言葉が大きく取り上げられたので、こちらばかりが広まっていますが、実際、本来メインとする目的は、お母さん達の悩みを一緒に解決すること、なのだそうです。

介護に関してもそうですが、自分の身の上の話とか、家族の話とか、大切なことなのに隠してしまったり、言えなかったりして、一人で悩んでいることって良くあります。
Bさんが言った通り、誰かに相談することが出来るって、本当に重要だと思います。

「誰かに話す」ということは、自分の考えを整理することが出来たり、分かってくれる人がいるというだけで気持ちが楽になったり、自分では思いつかなかったアイデアが生まれたり、情報が得られたり、様々ないいことがあります。

友人・知人・家族まど、周囲に話せる人がいない場合は、自治体や施設などの専門家に相談したり、ほっとラインの電話相談やインターネット相談室というものもあります。

可能性を沢山広げて、もっともっと生きることを助け合える社会になるといいなと思っています
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  25 2017 08:00
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