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事例124 介護する人、支える人

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デイサービスに通っていた70代の女性Aさんのお話です。
Aさんは、息子さんとマンションに住んでいました。 息子さんには籍こそ入っていませんが彼女がいて、Aさんと息子さんと彼女と3人で暮らしていました。

Aさんは、彼女のことをとても信頼していて、常々「いい子なのよ…」と私たちデイサービスの職員に話してくれていました。

息子さんも彼女も日中は仕事をしています。
Aさんは認知症で、自宅に一人でいる時間が長いと良くないからと、週に数回デイサービスに通う程度だったのですが、病気の進行が早く、早いうちにADL(日常生活動作)の低下が著しくなり、理解力、視力が落ち、歩行も困難になっていきました。

食事、トイレなども介助が無ければ難しくなり、デイサービスを利用しない日に一人で自宅にいることが難しい状態になっていきました。

本来なら、訪問サービスを追加したり、デイサービスの利用回数を増やしたり、施設に入所させることを検討しますが、金銭的に新たにサービスを増やすことは困難でした。

そこで、息子さんらは日中の介護をある人にお願いすることにしたのです。


それは、息子さんの彼女のお母さんです。

なぜそうなったのかというと、
彼女の実家はAさんの家から近く、彼女は時々実家に帰り、Aさんの話をしていたそうです。
介護の大変さを知った彼女のお母さんが、「私が手伝うわよ」と名乗り出てくれたのです。

Aさんは兄妹とは疎遠で、交流が無く、親族は息子さん一人です。
ご主人のことを深く知ることは出来ませんでしたが、既に他界されており、金銭的なトラブルがあったようで、そのことで、息子さんが今、金銭的な苦労をしていると聞きました。

サービスを増やせない、親族も頼れないとなった時、頼る先は彼女のお母さんしかなかったのです。

何年も介護をしてきましたが、彼氏のお母さんを、彼女のお母さんが面倒を見るというのは、あまり見たことがない光景でした。



Aさんは時折、「なんだか分からないけど…苦しい…」と過呼吸になることもありました。

病気が進行していくことへの不安や、息子の彼女のお母さんに介護されているという負い目があったり、Aさんにとって、身の安全は確保されたけれども、隠しきれない胸の内があったのではないかと思います。

彼氏の母親を介助することになった、彼女の母親。
その覚悟は相当なものだったと思います。

デイサービスからAさんを自宅に送り届けた時、迎えてくれる彼女のお母さんは、“おっかさん”という呼び名が似合うような、はつらつとした方でした。
ある時、私に「変な関係だって思うでしょ。でも、お互い様なんだからさ、これでいいのよ。」
と、明るく話してくれました。それを聞いているAさんも笑顔です。


少子化、核家族化、ひとり親家庭の増加など、家族の形は変化しています。
介護をする人、支える人の形も変わってきているような気がしています。
Aさんのように、相手の母親に介護されるというパターンも珍しくなくなってくるかもしれません。

介護は一人で無理してはいけないですから、自分が親や家族を介護する時、介護サービスを使わずに、頼れる人は誰だろう。
そこから考えてみると、未来のことも想像しやすいかもしれませんね。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  11 2017 08:00
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