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事例120 毎日の食事にほんの少しの気遣いを

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高齢者施設で提供される食事には、様々なパターンがあります。

・栄養士が立てた献立を、厨房で調理師が作り提供される食事。
・家庭の延長で、買い物から調理まで利用者にも手伝ってもらいながら作る食事。
・配食サービスでお弁当や、暖めるだけのものを使っているところもあります。


それぞれ提供する形は違いますが、出来る範囲で、栄養面はもちろんのこと、季節感や彩りを考えて提供されます。

私の勤めているグループホームでも、旬の果物や野菜を取り入れたり、入居者のリクエストにお応えしたり、様々に工夫をして提供しています。


たとえば、3月3日のひな祭り。
皆さんは、どんな食べ物を思い浮かべるでしょうか?
ひなあられ?菱餅?

実は、お蕎麦も代表的なひな祭りのお供え物だったらしいのです。
江戸時代から、蕎麦は長く延び、家運や寿命が長く延びるということで、縁起を担いで雛飾りを片付ける際に食べていたそうです。

『ひな蕎麦』と呼ばれています。


と言うことで先月の、グループホームのひな祭りのお昼ご飯はお蕎麦でした。
ひな祭りということで、お蕎麦の上にのせた飾りのかまぼこには、可愛らしいおひな様のイラストが練り込まれた限定のかまぼこを使いました。

可愛くてとっても喜んだ入居者のAさん。
ティッシュにそのかまぼこを包んで自分の部屋に持ち帰ろうとしました。


基本的に、食堂で出されたものは、お部屋に持ち帰らないことになっています。
さらに、大量調理マニュアルの中でも、「調理後の食品は、調理終了後から 2時間以内に喫食することが望ましい」とあり、もしもかなり時間が経ってから食べてしまうと、食中毒などのおそれがあることを危惧しています。


ということで、職員が本人に、ティッシュにくるんだかまぼこを持ち帰らないよう話しをしました。
きちんと話をすると、どうしてもお持ち帰りしたかった理由が分かったのです。


Aさん「持ち帰れないのはわかっていたんだけど、食べるんじゃないの。息子が来たらね、ひな祭りにこんなのが出たんだよって見せたくて。ダメかしら?」


Aさんの息子さんは、めったに来所されません。いつ来られるかわからない息子でも、来たら見せてあげたい、と思ったんですね。

そのような小さな喜びですら分かち合いたいと思ったのが、Aさんにとっては息子さんだった、ということを考えると、グループホームに生活の場所を移していても、家族との心の繋がりは変わりがないのだと感じさせられました。

Aさんに会いにきてくれる頻度が増えるといいな…という想いも込めて、このエピソードは、息子さんにお伝えしたいな、そう思います。


ひな祭りに、お蕎麦。
おひな様の可愛いかまぼこ。

献立を考えた職員、買い物をした職員、それぞれのした気遣いがちょっとした喜びに繋がったんですね。

普段の食事にほんの少し、季節感や彩りを与えてみる。
毎日のことだからこそ、さりげない心遣いが喜ばれるんですね。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  13 2017 08:00
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