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事例111 デイサービスに来ると排泄できるおばあちゃん

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デイサービスで働いていたとき、ご家族からこんなことを聞かれたことがあります。
「うちのおばあちゃん、なんでデイサービスに行くとうんち出きるんだと思います?」 私の働いていたデイサービスに通っていたおばあちゃんで、併用して月の半分くらいは別のショートステイ施設も利用されていました。ショートステイに行くと毎回のように、「排便がない日が数日続いたので」、ということで摘便や浣腸をされるそうです。しかし、私のデイサービスに通って来ている時は、週4日の利用のうち1回か2回はしっかり自力排便がある、という状態だったのです。

数ヶ月間この状況を見て、娘さんは、「なぜデイサービスに行くと排便があるのか?」と不思議に思い、冒頭の質問でした。


このおばあちゃんはどういう方かというと、年齢は80代。
歩行は出来ませんが、支えがあれば数十秒は立位がとれます。
日中はほぼ車椅子の上か、ベッド、またはソファーで過ごしています。

好き嫌いが多く日によって波はありましたが、食事はよく召し上がる方で、特にお寿司が好きでした。
認知症のためコミュニケーションをとることが難しく、症状が進むにつれて暴言暴力を振るうようになりました。

排泄介助や入浴介助も、手が出たり足が出たりととても難しかったのですが、せっかく立位がとれているので筋力を落とさぬようにと、介助の際は2人掛かりで行い、一日一度はちゃんと立位をとってもらうよう心がけていました。

排便の傾向を見ていくと、立位をとった時が多かったように思います。
特に多かったのが、入浴の時間です。
車椅子から衣服を脱いで、シャワーチェアーへ移る時。
洗い場で、臀部を洗うため立ち上がってもらった時。
シャワーチェアーから、浴槽へ入るのに立ち上がった時。
お風呂上がり、着替える為に立ち上がった時。

いつもちゃんと形のある健康な便でした。

「デイサービスではなぜうんちが出せるのか。」
ショートステイとの違いは、排泄介助、入浴介助の際に立位をとっていたかどうかくらいしか思い浮かびません。

普段ほとんど車椅子か、ベッドやソファーに横になっている状態のおばあちゃんが、立位をとることは簡単ではありません。身体を支えようと力みます。必然的にお腹にも力が入ります。
もしこの時に、ちょうどお腹の中で排泄の準備が出来ていたら…

介助をする中で、立位が難しくなって来た方の場合、トイレに座ってもらって排泄介助するのか、ベッド上で横になったまま介助するのか、判断に悩む時期があります。
このおばあちゃんの場合特に、介助の拒否行動で職員に対して手や足が出てしまうことがあったので、ショートステイ利用中に立位をとってもらうことはほとんどなかったと言います。

立位をとることのリスク、それを安全に介助する為の人員が確保できるかどうかなど、施設によって判断が違うかと思います。自宅で介護されている方の場合、誰かに手伝ってもらうことが難しい場合もあります。

排便に関しては摘便や浣腸に慣れてしまうと、大腸の機能が低下して自力排便がどんどん困難になっていきますので、自然に出来たらやはりそれが一番です。

リスクも伴いますし、全ての人に有効なやり方な訳ではありませんが、もしも、便秘や排泄に困っている方がいたら、介助の仕方を少しだけ変えて試してみるのも良いかもしれません。
また、食事や水分管理で解決できることもあります。

摘便や浣腸の方法をとることが良くないということではありませんが、こういう事例があったという話が何かの参考になれば幸いです。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  09 2017 08:00
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