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事例108 グループホームの職員殺傷事件から思うこと


昨年12月30日午前2時頃、静岡県浜松市のグループホームで入居者の80歳の男性が、施設の職員を包丁で切りつけたという事件がありました。







介護施設の夜勤を経験したことのある方なら、こんなに恐ろしいと思う事件はないと思います。

大概介護施設では、人員配置がフロアごとに一人だったり、施設全体としても人数が手薄になっています。
そんな中で、このような事件が起こったとしたらと考えると、ぞっとしてしまいます。


今回の事件を具体的に考えてみると、3つのことが想像できました。

まず、入居者がどうやって包丁を手に入れたのか。

グループホームは、家庭にいるような雰囲気作りやケアを行う場所ですから、キッチンに自由に出入りできるような作りの施設が多いです。
手に入れるとすれば、そこからでしょうか。もし、そこからだとすれば、施設側の管理が徹底されていなかったのではないかと思います。

私が以前に勤務していた施設では、フロアの隣にキッチンであり入居者が自由に出入りできるようになっていたので、夕飯が終了した時点で遅番の職員が必ず包丁の数を確認し、キッチン扉の施錠がされていました。
夜間は簡単には出入りできませんでした。
事件のあった施設ではどのように管理されていたのかが気になるところです。


次に、加害者の入居者はどのような方だったのか。
グループホームですから、認知症を持った方ですね。

認知症の症状として考えられるのは、過去の時代に遡ってしまうことです。
例えば、戦争経験者であれば、戦場のさなかに戻ってしまい、今見えた人全員が敵に見えて、自分を守るために攻撃したのかもしれません。
昔に、大きなトラブルを抱えたことのある方だったら、目の前にいる人が、恨みを持った人に見えたため、傷つけようと思ったかもしれません。

また、夜間せん妄といって、夜になると混乱して暴れたりしてしまう場合もあります。
そのような兆しのある方だったら、部屋に危険物はおかないとか、持ち物をしっかり把握するなどの対応が必要です。
男性が暴れた場合、女性職員はもちろん、男性職員でも一人で対処することがむずかしいですから、施設全体での応援体制が必要です。


さらに、職員の日頃の関わり方、働き方はどうだったのか。

認知症の方には、人の心の動きや環境の変化に敏感な方も多いです。
職員が焦っていたりイライラしていたり、周囲が騒々しかったりすると、落ち着かなくそわそわしてしまうことがあります。
落ち着かない入所者に、さらにイラついて、職員の言動が厳しくなって、その態度に入所者が反発して…という負の連鎖が起こってしまうことはまれにあります。
特に、夜勤は一人のことが多いですから、誰に変わってもらうこともできません。

職員が日頃から入居者との関わりで疑問を感じる点はなかったか、
感情のコントロールができていたか、一緒に働く職員に相談することができていたかも気になるところです。


リスクマネジメントという言葉があります。
事故や事件、トラブルなどの危機を管理して可能性をなくしたり、最小化するための対応や手法の事です。

「こんな事件があったらしいよ。怖いわね。夜勤は一人だからやっぱり大変な仕事なんだね。」
で済まさず、自分の施設だったら、と想像してみると改善すべき点が出てくるかもしれません。

この事件を参考に、リスクマネジメントを考えてみると、新たな事件・事故の防止になると思います。

介護で大切なことの一つは、介護する側が“健康で安全”に働くことができることです。
これは施設でも、在宅でも同じですね。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  19 2017 08:00
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