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事例097 戦争体験から教えてもらったこと



デイサービスに通っていた90代のおじいちゃん、Aさんのお話です。

Aさんは戦争でロシアのシベリアに抑留(よくりゅう)された経験があります。
※第2次世界大戦終結時にソビエト連邦に降伏し,または逮捕された日本人が,シベリアで強制労働を課せられたこと。

シベリアでは零下70度に達することもあり、過酷な土地だったといつも教えてくれました。

ある日、中学生の職業体験の学生たちがきたときのことです。
Aさんは学生らの質問にこう答えました。

学生  「戦争経験はありますか」
Aさん  「もちろん。君たちよりもう少し歳は上だったかな」

学生 「辛かったですか」
Aさん 「今となれば、貴重な体験だったね」

学生 「どんな体験だったですか」
Aさん 「僕はね、日本が戦争に負けてからシベリアに抑留されたんだよ。シベリア鉄道を作る作業員としてね。最初は本当に辛かった。でもね、僕は書くことが得意でね、日記をつけたりして字を書くことが上手だったんだ。それを軍隊の本部の人たちが見ていてくれてね。僕を本部の記録員にしたんだよ。労働者と違い、本部では暖かい部屋があり、食べるもなんて一切困らなかった。こんなにも違うのかと思ったね。特技が活かせて本当に良かったと思ったよ。芸は身を助けると言ってね、君たちも得意なことを活かしたり、好きなことで知識や教養を増やして身につけたら、いつか絶対それが自分を助けてくれるから、今は一生懸命勉強しなさいね。」


学生達はなるほどうなずきながら、しっかりAさんの言葉をメモしていました。

「ちなみに皆は今やりたいこととか、特技とかはある?」と質問してみると…

「部活でサッカーをやっている」
「お母さんから料理を習っている」
「漫画を読んでから将棋にはまっている」
など、興味ややりたいことをたくさん話してくれました。

将来の為に夢を持ちなさい。というと、大きなことのように思えて現実味のない気にもなりますが、
Aさんが話してくれたように、自分の特技や好きなことを活かして生きなさい、という言葉は、学生達に素直に浸透したようでした。


Aさんのように、戦争を体験して来た方からの話を聞くことは本当に貴重になって来ましたね。
介護の仕事をしていると、人生の先輩方の経験から、忘れられない言葉を聞いたり教えてもらったりします。

介護の仕事は、そう言うところも魅力の一つだと思っています。
Aさんが学生達に素晴らしい経験を伝えてくれたので、私たちも、この仕事の魅力をしっかり伝えなければ、という気持ちにさせてもらえました。

この数年後にAさんはお亡くなりになりました。
素晴らしい言葉を、次の世代に繋いでいきたいと思っています。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  03 2016 08:00
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