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事例094 姉妹喧嘩の結末



デイサービスに通っていた70代の女性Aさんと、そのご家族の話です。

Aさんには、上から長女、次女、長男の3人のお子さんがいます。
長女と長男はAさんの家から離れたところに暮らしており、次女が近くに住んでいたそうです。

Aさんは数年前にご主人を亡くして以来一人暮らしをしていましたが、買い物やご近所づきあいなどの日常動作がおかしいことに次女が気がつき、病院を受診、認知症と診断されました。

近くに住んでいたので、様子を見に行ったり、生活の手助けをすることになったのは必然的に次女。
認知症が進むにつれて、一人暮らしをするのが難しくなり、次女家族とともに暮らすことになりました。

認知症ですが、身体はお元気なAさん。
買い物へ出ては迷子になり、家事をやらせては失敗ばかり、徐々に次女もストレスになっていき、Aさんとケンカが絶えなくなります。

兄妹は仲がわるくなく、次女は、長女や長男に母親の最近の状況を報告したり、悩みを相談したりしていたそうです。

ある日も、悩み相談で長女に電話をかけた時のこと
「もっとあなたがこうしてあげたらいいのよ」と、アドバイスのつもりで言ったであろう長女の言葉が、ストレスの頂点で限界だったこともあり、つい「やってるわよ!何にも知らないくせに!そんなこと言うなら、やってみたら良いのよ!」と、言い返してしまい大きなケンカになってしまったのでした。

最終的には「私がやったら上手くいく!」と、長女が勢いでAさんを引き取ることに。


Aさんは住み慣れた土地を離れ、長女家族と過ごすことになりました。
慣れない土地の暮らしに困惑するAさん。
認知症の状態も進んでいきました。

誰かがいないと不安になったり、何かをやっていないと、そわそわするようになりました。
長女は、専業主婦です。
一生懸命Aさんに付き添って、一緒に買い物へ出かけたり、ドライブに行ったり、Aさんが大好きな歌謡曲のビデオをみたり、大人向けの折り紙や塗り絵をやってみたり…

「私がやったら上手くいく!」と啖呵を切った以上、意地もあったのかもしれません。
最初のうちは、四六時中一緒にいてAさんのやりたいことに付き合っていた長女ですが、長くは続かず。

少し距離をおく時間が欲しいからと、Aさんをデイサービスに通わせることにしました。
社交的なAさんは、デイサービスでも明るく、楽しく過ごしていきました。


長女がAさんを引き取って以来、姉妹は喧嘩別れのような状態でしたが、デイサービスに通わせたのをきっかけに、「介護は1人では難しいのだ」と痛感した長女さんは、あらためて次女と長男と、母親のこれからについて話し合ったそうです。

これから、認知症がもっと進んだら、自宅で見ることも難しいかもしれないー。
入所施設の検討もするようになりました。
どんな施設があるのか自分たちで調べたり、ケアマネージャーに相談していました。


家族で話し合うことになったきっかけは、姉妹の喧嘩でした。

この姉妹は上手く仲直りしましたが、介護をきっかけに家族が喧嘩別れや疎遠になるケースは、実はよくある問題です。

人は必ず老います。
今は元気でも、助けが必要な日が必ず来ます。
自分のことで子供達が喧嘩してしまうのは親にとって悲しいことだと思うし、老いへの気遣いや理解、準備ができていないために親を振り回してしまう結果になるのも悲しいことです。

問題がないうちに考えることというのは、とても難しいことだとは思います。
しかし、介護が始まってからの家族のトラブルというのはとても多いのです。
それぞれの暮らしの中で、何ができるかを事前に家族で話し合っておくのも必要な気がします。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  13 2016 08:00
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