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事例092 災害対策してますか?



先日訪問した施設で、年に何度目かの避難訓練が行なわれていました。
私も一緒に参加させて頂くことになり、その際に感じたことがあります。

行なわれた避難訓練は、施設内の食堂から出火したという想定でした。
職員が入居者の皆さんに声をかけ、食堂から離れた廊下の先まで誘導し、防火扉を閉めて終了です。

誘導に何分かかったかをストップウォッチで計る担当の職員がいて、1フロア9名の入居者(自立歩行5名、シルバーカー1名、車椅子3名)を、2人のスタッフで誘導するのに3分かからず、慣れたものでした。

避難訓練に参加した、シルバーカーのおばあちゃんがつぶやきました。
「避難訓練ってさ、逃げる準備ができているから良いわよ。でも実際は昼間とは限らないし、みんな寝ているかもしれない。しかも火事になったとなれば、建物の外へ逃げないといけないでしょ。階段を使わないといけないときは、私歩けるかどうか分からないわよ。一度やってみたいと、職員さんに話してみたんだけど、危険だからやめて下さいって言われたわ。」

確かに、その日は2階の方々の避難訓練でしたが、火元から入居者を離し、防火扉で閉めるところまでで終了していました。実際の火災時は、それでは終わることはないでしょう。建物の外へ出なくてはいけないときでも、エレベーターは使用できませんから階段を使用することになります。
自立で歩ける入居者も、階段となればわけが違います。


施設側としては、緊急な用事でもないのに、歩行状態の不安定な入居者をわざわざ階段昇降させて、転倒や転落など万が一のことがあったら…という思いで、おばあちゃんの申し出を断ったのだと思いますが、実際入居者の方が不安を感じながら暮らしているのは、とても良くないことだと思います。


おばあちゃんの話を聞いていて、私は以前施設勤務していた時の、東日本大震災の体験を思い出しました。


施設は埋めたて地にあり、液状化現象、地盤沈下などで地面から泥水が噴き出してくる状態。
海に流れ出る川のすぐ近くでも有り、川の堤防に亀裂が入り、水が流れ出ていました。

施設の地下に水が流れ込み、1階にいる全ての入居者・スタッフが2階に避難することになりました。もちろんエレベーターは使用できません。杖をついたりシルバーの方々は、一人一人付き添いゆっくり2階へ上がって頂きました。疲れて途中の踊り場に座り込む方もいました。
また車椅子の方は、スタッフが4〜5人がかりで車椅子を持ち上げ、なんとか運び上げました。

普段、避難訓練は行なっていましたが、実際に階段を上がることまではしていなかったので、どの方がどれくらいの歩行状態で階段を昇降できるかが分からず、皆初めてのことばかりで、とても大変だったことを思い出しました。

今回避難訓練を行なっている施設の方にも、自分の東日本大震災の経験をお伝えし、毎回とは言わないですが、本番を想定した具体的な避難訓練を行なった方が良いことをお伝えしました。避難時間を素早く終わらせることも重要ですが、時間をかけて実際の行動を細かく確認することも必要だと思っています。


階段昇降できる方がどのくらいいるのか。寝たきりの方を素早く移動させる為の方法はどんなものがあるのか。その為に必要になる道具が揃っているか。
頭で分かっていても、実際にやってみると思わぬ発見があるものです。

今年は、災害が多い年になりましたね。
台風もいつもより多く来ているようです。
地震、水害など福祉施設も大きな被害を受けた出来事が沢山有りました。

実際に起こった災害事例を使って、避難訓練の内容を組み立てるのも良いと思います。
施設でも、自宅でも、いざという時の備えと対策を事前にきっちりしておきたいものです。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  29 2016 08:00
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