介護の現場エピソードや、現在の社会問題について情報を発信中。

メニュー

事例086 入浴介助の事件を受けて


今月初め、ある有料老人ホームで痛ましい事故が起こりました。

男性介護職員が97歳の入居者をリフト式入浴装置で入浴させた際、お湯の温度が48度くらいになっており、入居者は広範囲なやけどを負って死亡した、という事件です。

この入居者は言葉に障害があり、寝たきり状態だったそうで、浴槽につかった際に手足をばたつかせたので引き上げた、ということで、ご本人のことを思うとどんなに辛い思いをしただろうと、言葉にもなりません。

男性職員は皮膚が弱く、お湯の温度を確かめる時に手袋をはめていた、と運営会社は話しているそうです。
入浴に介助に対する、リスク管理の意識があまりにもずさんだと感じます。

介助の前にやっておくべきことは沢山あります。
・入浴する方の体調の把握。
・皮膚の状態の把握。
・浴室、脱衣室の温度設定。
・浴槽のお湯の温度を温度計で計測。
・身体に掛ける前にシャワーの温度を介護者の手や足で確認。
・シャワーチェアーやいすに座る前に掛け湯をする。
・直接背中や身体にお湯を掛けるのではなく、ご本人の手や足でも温度を確認してもらう。
これは、基本中の基本ですね。

入浴中にも、きちんと洗身出来ているか、寒くないか、溺れていないか、転倒しないかなど、終始見守りや配慮、介助が必要です。
入浴後も、お風呂場と脱衣所の寒暖差がないように室温管理できているか、更衣がしっかり出来ているかを見守り・介助し、水分補給を忘れないように提供します。
これ以外にも、それぞれの方に合わせたもっと細かい気遣いが必要です。

初めから終わりまで気が抜けない入浴介助です。
実際に現場では“ひやっ”とすることが沢山有ります。

デイサービスで入浴介助の際、こんなことがありました。

入浴介助の基本は同性介助ですが、やむ終えず別性介助になる場合もあります。
ある日、私は新人の若い男性職員に、おばあちゃんの入浴介助を指導していました。
入浴が終わり脱衣所で、髪を乾かす際のことです。
彼は、いままで一度もドライヤーをつかったことがない、と話しました。

確かに、人の髪を乾かす機会なんて日常的にないですし、介護技術を教えてくれる学校や美容の学校でなければ教わりません。

その日は優しいおばあちゃんが、「私の頭でいいなら、やってみなさい」といって下さり、私も側で見守りながら、やってみることに。
時々「ちょっと熱いわよ、もうちょっと離して。」とおばあちゃんに怒られながら、彼はおそるおそる乾かしていました。

もしも、今回のやけどの事件のような、言葉に障害のある方だったら、意思表示が出来ないため、慣れない介護士がドライヤーで髪を乾かしていたらやけどをさせていた可能性もあります。
介助の技術をしっかり習得しているかどうかは、現場の指導者が判断しなければいけないことです。

今回の事件に関しては、手袋をして温度把握を行なっていたとのこと。
皮膚が弱いから、ということは日常的に同じことをしていた可能性があります。
そのことを、現場の誰も把握出来ていなかったのか気になるところではあります。

いずれにせよ、このような痛ましい事件が二度と起こらないようにと願います。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  18 2016 08:00
  • Comment: 0
  • Trackback: closed

0 Comments

Post a comment