介護の現場エピソードや、現在の社会問題について情報を発信中。

メニュー

事例085 『今』を大切にすること


音楽健康指導士として、あるデイサービスに行った時のことです。

いつものように懐かしの歌を歌ったり、体操や脳トレをしたり、20名を超える皆さんと1時間のレクリエーションを楽しみました。

テーマは夏祭りで、民謡や全国の祭りに関わる写真を見たり、参加者の皆さんで想い出話を間にはさみながら進行していきました。

いつもは「そんなの馬鹿らしい」、と音楽レクリエーションには参加しないという若い男性の利用者様が、「阿波踊りは腰を使うんだよ!」「ビール祭り行きたいねー」など笑顔で話に参加してくれて、いつもは歌わない歌も一緒に口ずさんでくれました。島倉千代子さんの『この世の花』を歌った時には、何かを思い出したのか、涙をこぼして感動していらして、その姿を見てスタッフさんもホロリときていました。私も胸にグッとくるものがありました。

プログラムの途中… 歌の歌詞を思い出そう、のクイズでは、声をかけてもほとんど反応のないおばあちゃんが、『九州炭坑節』を4番まで完璧に歌えたことに、スタッフの皆さんがとっても驚いていました。

さらには別のおばあちゃんが、『お座敷小唄』を6番まで完璧に歌い、拍手喝采。
昔の記憶は健在です!


楽しい時間もあっという間に終わり、帰ろうとした時、参加者の中のおばあちゃんが玄関までついてきて、「必ずまた来てね!次までちゃんと覚えてるからね!」と私の手を離そうとしませんでした。

「もう分かったから、また秋くらいに来てもらいましょう!」とスタッフがおばあちゃんをなだめながら、フロアに戻っていきます。
すると、その後ろ姿を見ながら、他のスタッフが教えてくれました。


「あの方は、認知症で来週には精神科病院に移ることになっているんです。だから、会えるのは今日で最後です。それと、前列で車椅子で酸素をつけた方、あの方は最近体調の変化が著しくて、次に来た時には、もういらっしゃらないかもしれません。でも、今日は楽しい時間を作ってくださって、皆さん本当に喜んでいました。本当に感謝しています。」

そのスタッフの言葉を聞いて、単純に嬉しかったのと、『今』という時間がいかに大切かということをしみじみ感じました。


ほんの1時間ちょっとの滞在時間でしたが、参加してくれている利用者にとって、その時間で痛みや不安や怖れを忘れ、楽しみや喜びがほんの少しでも多くなるようにと願いながら、大切に過ごしていきたいと改めて感じました。


『今』を大切にしなくては、と思ったとき、ふと頭に浮かんだのは両親のことでした。
そう言えば、自分のことで忙しすぎて、電話もしてなかったな…と。


そろそろ、お盆の季節ですね。
田舎に帰省する方も多いのではないでしょうか?
大切な人との今、皆さんはどのように過ごしますか?
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Tue,  16 2016 09:43
  • Comment: 0
  • Trackback: closed

0 Comments

Post a comment