介護の現場エピソードや、現在の社会問題について情報を発信中。

メニュー

事例084 美容の意識


介護施設での、美容に関するお話です。

私の勤務するグループホームには、数ヶ月に一度、訪問美容師さんが来所します。
施設内の空き室を使って作業をするのですが、カットをする為の鏡やハサミなどのセッティングをする他に、必ず用意しておくことがあります。

部屋をお花や季節の飾りで飾りつけするのです。
いつもの殺風景な部屋がパッと明るくなり、おしゃれな美容室に来たような雰囲気になります。


そんな部屋に入居者を誘導すると、扉を開けた瞬間から皆さん喜んでくれて、自然と笑顔になります。

早速鏡の前に座ると、ほとんどの方がいつもより背筋がしゃんとして、目をしっかり開けてご自分を見つめます。

さて、入居者のカットを始める美容師さん。
カットの間、入居者さんの若いころに流行ったファッションやお化粧の話を聞いて行きます。

入居者の女性は、子供のころは良くおさげ髪にしていたはなしや、オードリーヘップバーンの髪型やメイクを真似したことがあるなど、振り返りながら楽しそうに話してくれました。
髪型も気持ちも若返っていくように、とてもいい顔をしていました。

綺麗にカットされ、セットした髪。
それだけでも満足そうでししたが、美容師さんは最後に、うっすらとピンクの口紅を指します。

口紅をさすと、肌の色を明るく見せてくれるだけでなく、気持ちを若返らせ、女性らしさを取り戻すのだと教えてくれました。

久々の口紅に、恥ずかしそうに喜んでいる姿に、私たちも嬉しくなります。


施設で仕事をしていると、高齢者の方々から、「この歳だし美容なんて気にしないわよ。」
「面倒くさいことはもうやめたわ。」という声を良く聴きます。
しかし、実際綺麗になる機会があるとこんなにも喜んでもらえるのだと感じました。

綺麗になると気持ちが上向きになって、顔色も良くなりますし、やる気も出てきます。


いつか、有料老人ホームの施設長さんから、鏡の大切さを聞いたことを思い出しました。
介護される動作が増えると、自分で自分を見ることが減ります。また、介護士があわただしくしていて、鏡の前でゆっくり整容する時間がないことで、それが習慣化してしまったりするそうです。

だからそのホームでは、あえてそのような時間をしっかりとる取り組みを始めたのだそうです。
起床時に髪をとく、食事前の手洗い、排泄、入浴などの機会に必ず鏡の前で、自分の姿をみてもらう時間を作ることにしたそうです。


すると、今まで自分では腕が上げられないと思っていた方が、髪の毛を気にして櫛をもったり、分け目を気にしたり、少しづつ身なりを意識するようになり、それと同時に上肢の可動域も自然に広がり、日常動作でも出来ることが増えていったのだそうです。

鏡を見ることって大切なんですね。

このように、気負わない程度に、身なりを整える延長で美容に対して意識をするきっかけ作りが出来ると良いですね。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  04 2016 08:00
  • Comment: 0
  • Trackback: closed

0 Comments

Post a comment