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事例075「しつけ」の意味と「頼る」こと


先日グループホームの入居者のおばぁちゃんAさんと一緒にテレビのニュースを見ていた時のことです。

“北海道で、しつけのために森の中に子供を置き去りにした”、というニュースが流れました。

Aさんは
「全くなんという親でしょう!親にしつけが必要だわ。子供を危険にさらすのはしつけじゃないわね。そんなこともわからないなんて。」
と呆れ顏で話します。

すると子供がいるスタッフがこういいました。
「でも、あまりにも言うことを聞かない時は、ちょっと距離をおいたり、暗い部屋に閉じ込めたりしちゃいますよ…気持ちはわからなくも無いですよ。でも、絶対目が離れるところにはやりませんし、森の中なんてあり得ませんけどね…」

それを聞いたAさんはこんなことをいいました。
「あなたお裁縫の"仕付け"って分かるわよね。
着物を縫う前に裁断した布を形が整うように、仕付け糸で仮に縫いつけておくことで、着物が出来上がったら、必要なくなるわよね。仕付け糸はいずれ外すもの、仕付け糸のあとが残っちゃダメよね。

子育ての“しつけ”もそういうことなんじゃないかなって思うわよ。
怖い思いをさせたり、傷を負わせたり、親が勝手に“しつけ”だって言って、心に傷を負わせたりトラウマを作ったりしてる。何か違う気がするわよ。
“しつけ”は子供の自律の支えにならないといけないものでしょう。あとを残しちゃいけないわよね。」

私はまだ子育ての経験がないので、二人の会話をただ聞いていることしか出来なかったのですが、Aさんの話はなるほど…と思ってしまいました。


Aさんはこうも話します。
「親はやっぱり一生懸命になるからね、たまには違うところに目を向ける余裕がないとダメなのよ。
昔は家族も子供も沢山いたけど、今は子供は一人か二人でしょ。親の目が全部子供に一点集中するわね。
親も誰かに頼って、今の自分を見直す時間を作ることも必要なのよ。
そんな時、私たちおばあちゃんの出番よね。たまには頼りになるわよ。
親にとってもいい機会だし、おばあちゃんからしたら頼られたら嬉しいわよ。でも、なかなか頼ってくれないわね。」

この話を聞いていてふと思ったことは、最近特に人を頼ることが苦手な人、人を頼ることが恥ずかしいと思う人が多い気がするな、ということです。

先日、保育士さんと話をしている時に、「子育てをひとりで抱え込むお母さんが増えている」という話も聞きました。
介護をしている人でも“他人に迷惑をかけないように”とか“私が頑張らなきゃ”といって、誰にも頼らず、追いつめられていったという方と出会うことが多くなりました。

核家族化・家族関係の希薄化など、家族のあり方が昔とは違って来ているこのような時勢だからこそ、身の回りに相談する人がいるか?、「大丈夫?」と声を掛けてくれる人はいるか?、気の置けない話をする人がいるか?、ということがとても大切になってきています。

一人一人がご自身に問うべき小さな課題が、いつかきっと大きな力になって、未来の行動や家族への振り返りにも良い影響を与えてくれる気がしています。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Thu,  02 2016 08:00
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