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事例065 施設選びのポイント

「三食食べさせてもらって、お風呂も入れてもらって、
助かっていますが、会いに行くといつも寝かせられていて…」

「誕生日とかは祝ってもらっているみたいですが、日頃はぼーっと座っているだけのようで…」


これは、施設に入居している人の家族の声です。
施設に対してありがたさを感じている反面、何となく違うような…そんな声を聞くことがあります。

せっかく選んだ施設に不満を持ってしまうことは、家族にとって、とても悲しいことだと思います。
そのようなことがないように、施設選びの際に、大切にしてほしいことがあります。

それは、“暮らし”です。

よく、施設選びをする際に、ご家族からの要望としてあるのが、
「特別なことはしてくれなくていいから、普通の暮らしができればいい」
という声です。


まず、私たちにとって、“暮らし”とは何か?を考えてみたいと思います。

家があって、寝る場所があって、お腹が空いたらご飯を食べて、お風呂に入れて、トイレが出来る。
これは、“生きる”という意味で最低限必要なことです。

そしてそれは、“暮らし”ではありません。

私たちの“暮らし”の中には、“変化”があります。
お天気が良ければ外へ出たいし、面白いテレビがあれば夜更かししたり、買い物で旬のものがあればつい買ってみたり…。
その時の気分で変わることや、突然考えついたことが、何気無く出来ているのです。


「特別なことはしてくれなくていいから、普通の暮らしができればいい」

この意見は一見、そうだな…と思えますが、施設の現場から見ると、そこにこそ大きな違いがあります。

今や、どの施設でも、人手不足や経費削減などでギリギリの運営をしている施設が多いです。
「お風呂に、何時までに何人、入れないといけない。」
「病院受診の付き添いでスタッフが足りない」
「レクリエーションに掛ける費用が少ない」

時間やお金に縛られて、“生きる”お手伝いで精一杯で、一人一人の“暮らし”に目を向けることが出来なくなっている、もしくは、やりたいと思いながらも、日々の業務を行なうことが習慣化されてしまい、“変化”が受け入れられなくなっているかもしれない施設が少なくありません。


しかし、そんな状況の中でも、スタッフが一丸となってチームワークでしっかりと一人一人の“暮らし”に目を向けたケアをしようと努力をしている施設があります。
是非、そういう施設を選んで欲しいとおもいます。


その為には、家族が施設を選ぶ際にしっかりと、本人の思いを代弁出来ることが必要なのです。

「父は認知症ですが、家では毎日庭で土いじりをしているのが好きでした。季節の花を植えたりして楽しんでいたんです。こちらの施設でも継続させたいんですが、そのような活動はできますか?」

「母は買い物が大好きで、前の施設では毎日自分で近くのスーパーへ買い物に行っていたみたいです。今は一人で外出が難しいのですが、ちょこちょこ連れて行ってもらえますか?」

「夫は毎日散歩に出かけて、途中の喫茶店でコーヒーを飲んで帰ってくるのが日課でした。今は車椅子ですが、連れて行ってもらえたら喜ぶと思うんですが、外出させてもらえますか?」

ほんの些細なことでいいのです。
具体的な提案が分かれば、それに対応することが可能かどうかも施設選びの判断基準になります。


三食食事が出ます。
入浴介助も行ないます。
トイレ介助もします。

それは、“生きる為”に当たり前の出来事で、そこで“暮らし続ける為”にはどう支援してもらえるかが、重要なことなのです。

もしもいま、家族が病気になったりして自分じゃ介護出来ない状況だったとしたら、施設を選ぶ時、どんな“暮らし”を提案出来るでしょうか?

場所のこと、お金のこと、施設を選ぶには沢山の基準がありますが、“暮らし”という視点も重要なポイントになるのではないかと考えています。
Category: 介護の現場から(事例集)
Published on: Mon,  28 2016 23:53
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