介護デザインプロジェクト

このブログでは、
介護の現場エピソードや、現在の社会問題について情報を発信していきます。

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事例044 元気の源

「私の元気の源は、孫の成長と旦那とのおしゃべりなんです。」

介護の集いに参加した年配女性の言葉です。

大腿骨を骨折して、しばらくの入院の後、自宅に戻ったものの、足が不自由なもどかしさや自由に外出出来ないストレスから気持ちが落ち込み「鬱」になりかけていたそうです。

そんな中、力になったのが、まず孫とのふれあいだったそうです。

近くに住むお孫さんは女性の家に遊びに来ては、ごはんを一緒に食べたり、お茶を飲んだりして過ごしていたそうで、「おばあちゃんの料理が1番美味しいよ」と言ってくれるのだそうです。

女性は言います。
「孫なりに気を遣ってそんなことを言ってくれたのか、親に言いなさいって言われてたのかもわかんないし、もしかしてお世辞かもって考えても、嬉しいものよ。かわいいのよ。」

そんなお孫さんが高校を卒業し、希望の大学に合格したり、どんどん成長して行く姿を見るのが1番の楽しみなのだそうです。

さらにご自宅では結婚55年になる旦那様と、他愛も無い話をしているのだとか。毎日顔を合わせても、話が尽きないのだそうです。退院後の方が会話が増えたそうです。


女性は最後にこう締めくくりました。
「今の私があるのは家族のおかげ。家族おかげで、前向きになれた。そして、こうやって今日この集いにも参加できています。ありがたいと思っています。」


お孫さんや旦那様にとっては、日常の何でも無い時間なのかもしれませんが、この女性にとっては家族との時間こそが、生きる力となっているんだと感じた話でした。


ふと、自分の事を振り返り、離れて暮らす病気療養中の父に、最近電話もメールもしてないなー。と思い、早速その日の夜に『調子どう?』なんてメールをしてみたのでした…。

すると、父は携帯を見つめていたんじゃ無いか、と思う位の速さで、すぐに電話がかかってきて、近況を話す機会になりました。

話声が明るくて良かったと、少しだけ安心できました。
年末には会いに行こう。

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歌と介護を“つなぐ”

10月25日(日)
市川市東国分 東進デイサービス様にてお話をさせて頂きました。

一部は、私の講演と、お客様とのディスカッション。
●介護に携わることが無かったし、私自身も元気だから、全然いままで考えたことが無い。
●母を最後まで自宅で看取りました。自分なりに色々工夫して介護を楽しんで出来ました。
●つい最近骨折して、気分も落ち込み「鬱」になりかけたけど、孫の成長が楽しみで、いつも元気をもらっている。

などなど、参加して下さった皆さんの介護に対する思いを聞くことが出来ました。
介護のことを考えたことが無いとおっしゃっていた奥様方も、同じくらいの年代の方の介護経験談を聞いて、
「色々考えたり苦労したりしていらっしゃるのね…私たちは、なんにも考えていなかったわ…」とつぶやきながら、現状に照らし合わせながら、仲間内でお話していらっしゃいました。1時間では納まりきらないくらいの貴重なお話が皆様から聞けました。



二部は、東進デイサービスさんの特徴でもある、バンドでの懐かしの歌をみんなで楽しもう!!
スタッフさんやそのお子さん、ご友人からなるスペシャルバンド!



『瀬戸の花嫁』では、小学生の男の子がドラムを叩きました。感激しながら見ている皆さん。そして、タンバリンでリズムを刻む可愛い女の子にさらに釘付け!
スタッフのご友人の男性は、色んな曲をぶっつけ本番でベース等をさらっと合わせて下さいました。凄い。
さらにさらに、施設長さんも歌がうまい(息子さんはバリトン歌手!!!)。



一部では、真剣にお話に耳を傾けて下さった皆様も、肩の力を抜いて歌って楽しめるそんな時間でした。


介護の集いは、各地域で色々な形で行われていますが、音楽とのコラボレーションもいいものです。
介護の話を真剣に聞いたり話したりするもよし。歌を楽しみにするもよし。

すでに、次回を楽しみにして下さる参加者の方もいらっしゃって、企画や準備をして下さった八木さん、酒井さん、スタッフの皆さんの思いが、そうさせたのだと感じました。

とってもいい時間でした。ありがとうございました!

あ、ちなみに…近くには、知る人ぞ知る名店があります!充電満タン!

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事例043 “お姉さん”の顔

グループホームに入居しているおばあちゃんMさん。
弟さんがよく面会に来られます。

Mさんは、ほとんど全ての動作に介助が必要で、食事もスプーンを持つのがやっと。
表情はなく、会話はこちらからの話や質問に、答えられる時と答えられない時があります。
話が理解できない時があったり、理解できても返答するまでに時間がかかったり、言葉が出なかったりします。

弟さんが面会に来ても、Mさんのそばにただ寄り添い、ほとんど話をせずに帰ることがほとんどです。

ある日のおやつの時間。
私がMさんのおやつを食べる介助をしていると、弟さんがやって来ました。
Mさんの顔がパッと明るくなります。
私も久々に弟さんにお会いしたので、Mさんと3人で一緒に雑談することに。

先日、フラダンスのボランティアさんが来たことを弟さんに報告すると、
「姉は、高校の頃ウクレレにハマってね、姉の隣が俺の部屋だったもんだから、いつもうるさくてさ!上手ならまだ聞けるけど、素人の下手な音楽聞かされて、もううんざりしたもんだよ。」
弟さんの話に、Mさんは顔をくしゃっとさせて笑います。

私「弟さんは音楽とか興味ないんですか?」
弟さん「俺は、フランク永井とか好きだなぁ。ちなみに俺は、一般人でも一位二位を争う、芸能通だよ!」

Mさんは眉間にシワを寄せて、(また始まったわよ、ごめんなさいね)、というような顔で私を見ます。
弟さんは、大物歌手の結婚離婚のエピソードや、ヒット曲が世に出るまでにどんな人が携わって出来たか、主題歌の映画の俳優や物語などなど…次から次へと話してくださいました。
あっという間に30分くらいが過ぎ、まだまだ話そうとする弟さんに、何か言いたげに聞いていたMさん。

Mさんに、どうしましたか?と尋ねると、
「も、も、もう十分よ」
と一言。

弟さんもわたしも、フロアにいたみんなが笑います。

弟さん「いやいやごめんごめん、久々に話が出来たから嬉しくてさ。ここじゃ、いつもあんまり雑談する人いないでしょ。あんたは次いつ出勤だい?また話しに来るよ。」

そういって弟さんはニコニコしながら「また来るよ!」と言って、帰って行きました。

その後、Mさんは私に言います。
「弟が、ごめんなさいね…」

「いいじゃないですか!」といいながら、私は別の嬉しさを感じていました。
Mさんが、弟さんが来たことで、とても表情豊かになり、やんちゃな弟を見守るような“お姉さん”の顔になっていたことです。

入所施設で働いていると、様々な面会場面に出会います。
いつもは”入居者様”としかみれていなかった方々が、誰かの母だったり、夫だったり、家族の一人なのだということをあらためて感じさせられます。

その度に、入居者様自身のことだけでなく、ご家族の思いや満足のためのお手伝いも出来たらいいな、という気持ちを再認識するのです。

介護の仕事。
それはまさに親孝行、家族孝行のお手伝いなんだと思います。

Mさんの弟さんが次はどんな話を聞かせてくれるか、お会いするのが楽しみです。

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事例042 事故から学ぶこと

先日ある施設の訪問中に、転倒事故が起こりました。

私とその施設の見学の担当者が廊下で話をしていると、後方の食堂から『ドーーーン!』と音が聞こえ、慌てて振り向くと、おじいちゃんが車いすごと真横にひっくり返っていました。

少し違和感を感じたのは、横転したのには珍しく、身体は少しも投げ出されること無く、腕は胸の前で組んだまま、きっちり車いすにはまったままでした。
音から考えると、かなりの勢いで横転したように聞こえました。
転倒の状況を見ると、頭を強く床に打ち付けたのではないかと思います。

見学担当の職員さんが、慌てて「○○さんが転倒している!」と駆け寄ります。
何かできないかと、私も駆け寄りました。

別のスタッフも到着し、車いすごとおじいちゃんを持ち上げます。
とりあえず外傷はありませんがでしたが、確認のため居室に連れて行かれました。

「さっき見たときは姿勢の保持はちゃんと出来ていたのに、クッションもいれたし…」と、スタッフさんが言います。
(いつも姿勢保持が難しい方なんだな、何が原因だったのだろう…)と思いながら、連れて行かれるおじいちゃんと車いすを見ていて、気がついたことがありました。

おじいちゃんは、大柄ではありませんが、背が高い方。
スタッフさんの話の中から想像すると、座位姿勢の際は時間が経つと、左右のどちらかに傾く為、日常的に傾いた側にクッションをはさみ、姿勢を保持しているようでした。
ADL(日常生活動作)は全介助で、自走は出来ないとのことで、タイヤの小さい介助用車いすを使用していました。

そんな状況から考えると…
身体に対して車いすが小さく、アームレスト(肘掛け)の位置が極端に低いように見えました。

車いすは、歩行に障害がある方にとって日常的に使用するものです。
私たちが日頃、靴や洋服を選ぶように、一人一人に合ったものを使用しなくては行けません。

例えば、女性がハイヒールを履き続けていると、自然と外反母趾になりやすくなったりするように、身体は環境に合わせようとします。車いすも、身体に合わないものを使い続けていると、姿勢が悪くなったり、食事の嚥下(飲み込み)が悪くなったり、むせ込みが起こったりします。それが原因となって様々な機能低下が連鎖反応のように起こってくるのです。

車いすのアームレスト(肘掛け)は、姿勢を保持する為に大切な調整箇所の一つです。
上下に高さを変えられるようになっています。
低すぎるアームレストでは、上肢を保持することが出来ません。

この転倒事故後、すぐにおじいちゃんはフロアから個室に誘導された為、しっかり観察した訳ではないので断定はできませんでが、車いすが少し小さく見え、アームレストもかなり低いように感じた点をスタッフの方にお伝えしました。


施設では、事故が起こった際は「事故報告書(事故の現況概要、対応方法、検討課題など)」を書きます。
利用者様の身体状況やスタッフの見守り体制だけでなく、日常的に行われていた環境づくりを再度見直すなど、様々な視点から一つの事故の要因を探してくことが大切だからです。

さらに「事故報告書」の他に、「ヒヤリ・ハット」という書式もあります。
事故が起こりそうな “ひやっ!” っとした出来事から、事故が起こるかもしれない要因を見つけ、事故につなげない為にスタッフの“気づき”を促す書式です。

ハインリッヒの法則、というのがあって、1件の大きな事故の裏には29件の軽微な事故と、300件のヒヤリ・ハットが隠れていると言われています。

たくさんのヒヤリ・ハットに気づくことができ、事故を未然に防ぐことが出来ると良いですね。

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事例041 心のケア

音楽健康指導士として老人保健施設を訪ね、懐かしの歌や体操のレクリエーションを行った時のことです。

ちなみに、「老人保健施設」とは、リハビリテーションを中心とした医療サービスを提供し、在宅復帰を目的とする施設で、入所期間は原則3ヶ月間まで、とされています。

レクリエーションが終わり、帰り支度をしていると、一人の入居者さんが話しかけに来てくれました。

「今日はありがとう!楽しかった!歌も久々に歌ったわ。好きなのよ!!」

とても表情豊かに話しかけてくれました。その方と少し話をすることに。

お名前を聞くととても珍しい名字の方だったので、出身地を聞いたりしているうちに、昔のことや今の住まい、家族や趣味の話など、どんどん話してくださいます。
(お話好きなんだなぁ…)と思いながら、色々話しているうちに、施設に入居することになったきっかけや病気に対する気持ちなどを、話してくださいました。

「病気をする前は、趣味が沢山あって、カラオケや社交ダンス、ボーリングなんてマイボール6個も持ってるのよ!
今となっては脳梗塞の後遺症のせいで言葉もうまく話せないし、歩くことさえ出来なくなってしまった。ここにはもう2年いるの。主人は早くに亡くなって、家族はたまーにしか会いに来ない。さみしいものね。でも、趣味を一緒にやっていた友達は良く訪ねてくれるのよ!それで元気をもらってる。

ここにはそう長くはいられないらしいわね。でも、行き場がないのよ。家族は、今後私が退院した場合のことを話し合ってくれているみたいだけど、迷惑になるだけな気がして情けない気持ちでいっぱい。ここでの生活は、リハビリの時間が終わってしまったら、後は自由よ。でも、一人じゃ散歩さえできない。職員さんも忙しそうにしてるしね。部屋でぼーっと過ごすか、食堂でテレビを見るくらい。たまに季節の行事があるときやボランティアさんが来るときは楽しみよ。だから、今日は久々にあなたのレクリエーション楽しかったわ!懐かしい歌も思い出した。全然考えなかったけど、歌くらいは歌えるようになりたいと思ったわ!」

このお話を聞いていて、以前、ある病院で働いている理学療法士の方が話してくれたことを思い出しました。

「病院で毎日、いろんな方の個人的なリハビリを行っていますが、それ以外にも大切なことがあります。『リハビリ以外の時間をどう過ごすか』です。」

その話はさらにこう続きます。

「入院中でも、リハビリ以外に刺激があったり、希望や楽しみが創造出来る方とそうでない方とでは、リハビリに対する意識も変わるし、回復期間も変わります。より前向きに過ごせる人の方が、回復が早いことが多いのです。例えば、『今は車いすだけど、歩けるようになって、毎年参加していたマラソン大会を目標に頑張りたいんです!』とかね。リハビリ以外の“心のケア”もとても大事だと思っています。その人が、何を目標にリハビリに励むのか、共に探し出すための時間が必要だったり、信頼関係作りだったり。忙しさにかまけて、なかなか実践出来ないのが実状なのですがね…。」


“心のケア”

今回、私が老人保健施設で出会った方は、初めて会ったのにも関わらず、私に今の思いをぶつけてくれました。
最初はお話好きの方なのかな?くらいにしか思っていませんでしたが、話を聞いていくうちに、今の暮らしや今後の生活について、複雑な心情があるんだということが分かりました。そんな複雑な思いを、スタッフでもなく同じ入居者でもなく、関係のない、でも受け入れてくれる誰かに聞いてほしかったのでしょう。

そしてそんな時に、
私がたまたまレクリエーションに伺って、久々に懐かしい歌を聴いて、口ずさんで、普段にはない楽しみがあって、これなら出来るかもしれないという目標を自ら自然に見つけられたのではないかと思います。

病気になっても介護が必要になっても、小さなことからでいい。
前向きに生きることを想像出来る。そんな生き方のお手伝いをしていきたいと感じました。

先日、介護がテーマの、ある舞台を見ていて、「“忙しい”とは“心”を“亡くす”と書きます。スタッフの皆さんが、心を亡くしてどうするんですか。」という台詞を聞いて、胸を突かれたような気がしました。

皆さんは、普段どれくらい“心”に寄り添えていますか?

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事例040 主婦の段取りから学んだこと

ある日のデイサービスの午後のことです。

20代の男性スタッフが、たくさんの洗濯物と物干しスタンドを抱えて洗濯場からやって来ました。
小さなタオルやバスタオル、ズボンや靴下、下着などなど。
午前中の入浴ででた洗濯物です。

それを見た、女性の利用者様が

「あらあら大変ね!干すんでしょ?手伝うわよ!」
と率先して申し出てくれました。

物干しスタンドを広げ、洗濯物を干しはじめた二人。

一枚目。
おばぁちゃんは、たくさんの洗濯物の中から小さなタオルを選んで干しました。
男性スタッフは、一番上にあるズボンから干しました。

二枚目。
おばぁちゃんは、また同じ種類のタオルを洗濯物の中から選んで干しました。
男性スタッフは、一番上にある靴下を干しました。

三枚目。
おばぁちゃんはまた洗濯物を掘り返し、同じタオルはないか探しています。

男性スタッフが声をかけます。

「上から干していってくれたらいいですよ。面倒ですから…。」

それを聞いたおばぁちゃんは、
「洗濯物を干す時は、取り込むことと、たたむ時のことを考えて干すものよ。おなじ種類で並べて干したら、後が楽でしょ。早く済むしね!それに、ここではあなたが干したからって、あなたが取り込むとは限らないじゃない。次の人のためにもなるわね!」

男性スタッフ
「なるほど!そうです。多分今日中には乾かないので、たたむのは僕じゃありません。次の人のためにか…。」

おばぁちゃん
「そう。主婦はみんな、そうやって次の段取りを考えてやってるのよ。」

その後男性スタッフは、「次は何がいいですかね。」なんて聞きながら、洗濯を干していました。まるで、おばぁちゃんと孫のようで微笑ましい光景でした。


施設では、利用者様の残存機能保持、向上の為に家事仕事を手伝ってもらうことがあります。
洗濯物干し、買い物、料理、おやつ作り…利用者様のために、と思ってやっていることも、実は私たちの方が教わることが多かったりして。

洗濯物を干すというたったそれだけのことですが、家事の段取りを教わることで、次の仕事や携わる人のことを考えて行動をするという、仕事の段取りさえも教えてもらった気がします。

スタッフにとってもそう言う細かな思いやりの部分を、同僚や上司から教わるのではなく、利用者様と一緒に家事をしながら教わる、学ぶ方がとても自然で受け入れやすかったのではないかと思います。

介護の職場には、暮らしの中にある“自然なふれあい”と“学び”があります。

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