介護デザインプロジェクト

このブログでは、
介護の現場エピソードや、現在の社会問題について情報を発信していきます。

カゾクロ オンラインショップ

事例039 初めて担当したお花見企画

写真を整理していたら、短大を卒業してすぐに務めた施設で、初めて私が企画して開催されたお花見の写真が出てきました。

千葉県東金市にある八鶴湖畔で、皆でお弁当を食べている写真。
桜は7分咲きほどで、風が強いのか皆の髪の毛が乱れていて、ちょっと滑稽です。

久々にこの写真を見返して、ふっと、その頃の気持ちを思い出しました。


地方の短大を卒業したばかりで、施設のことも、関東地域の地理さえもわからない私が、初めてお花見企画を任されたドキドキを思い出したのです。

過去に開催された時の企画書を見て勉強したり、先輩にアドバイスをもらいながら、初めての企画書を提出。


そして、準備。

お花見の場所、道のり、途中のトイレ休憩ポイント、施設車両駐車場の確保、到着後の移動経路の確認、休憩ポイント、トイレは洋式か和式か、悪天候の時でも屋根があるか…など。
当日の持ち物は、携帯電話、車椅子、昼食の薬、水、万が一のオムツ類、救急セット…。

先輩方に一つ一つ必要なものや確認事項を教えてもらいました。

そして、仕事が休みの日に場所を下見に行って、場所の雰囲気をつかんでおいたり。
数週間前から、お花見当日の天気が気になって気になったり、もうドキドキの毎日。

(外出レクって、こんなにめんどうなのか…出来ればもうやりたくない。)
はっきりいって、そう思っていました。


さて、当日。
お天気は晴れましたが風の強い日。
せっかく咲き始めた桜も可哀想なくらい風に吹かれています。
私は、入居者の皆さんが転ばないようにと注意して、ヒヤヒヤしながら付き添います。

私はヒヤヒヤドキドキでしたが、入居者の方たちは、桜だ!お花見だ!外出だ!と、待ちに待ったようにワクワクした様子でニコニコです。

お弁当を食べる準備を始めると、
普段物静かで、お話もあまりしない方が、
「わぁ〜!外でお弁当食べるのぉ!」と、嬉しそう。
威勢のいいおじぃちゃんは、
「おい、若いの!弁当よりビールがなきゃ花見は始まんないよ!」
と、急かします。

施設の中にいる時には、見たことのないイキイキとした皆さんの顔を見ていたら、嬉しくてたまりませんでした。

準備は大変だったけど、こんなに喜んでもらえるんだと思ったらまた次の企画もやってみよう!と、自然と思っていました。


それと同時に、私たちが日常の暮らしに取り入れているのと同じように、施設に入居していても、季節や行事を通してイベントを楽しむことが出来るって改めていいことだなと感じました。

この機会をきっかけに、「入居者の笑顔が見たい」、その思いで率先して施設でのイベントを担当してきましたし、あとから入る新人のスタッフにも「行事を担当するのは大変だけど、それ以上に得るものがある」というのを伝えながら一緒にイベントを作り上げて来ました。


普段の業務だけでなくイベントの準備を一緒にやることで、スタッフ間も団結力が強まる気がしています。


忙しい日常業務の中、行事やレクリエーションを考えるのは大変ですが、スタッフ一丸となって作り上げていくことを勉強しながらも楽しむことができたらいいですよね。

徐々に涼しくなってきたこの季節。
夏祭り、敬老会が終わり、ハロウィン、クリスマス会、忘年会…これからも行事が盛りだくさんですね。

今年はどんなアイディアで、どんな良い笑顔を見せてもらえるでしょうか。
私は考えるだけでワクワクします!

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事例038 迷子のおばあちゃん

先日、ある施設へ向かうため、駅でバスを待っていました。

間もなくバスが到着する少し前。
買い物袋に傘を持ったおばあちゃんが、警察官に付き添われて、私の並ぶ列までやってきました。
今日は雨の予報はないんだけどな…と思いながらどうしたのかと見ていると、

警察官「○○(地域の名前)に向かうのはこのバスですから、運転手さんに行きたい場所を伝えて下さいね。」
おばあちゃん「お世話になりました。」

(バス停が分からなくなったのか…)と単純にそう思いました。
警察官もその場からいなくなり、おばあちゃんは列の後ろの方に並んでいます。
おばあちゃんの後ろにも人が増えていきます。

バスが来て、どんどんと乗り込んでいき、私は運良く座ることが出来ました。
ふと、後から乗り込む人々を見ていると。

何やら途中でつまっています。
さっきのおばあちゃんが乗車口で運転手さんと話しています。

おばあちゃん「○○一丁目まで行きますか?コンビニがあるでしょ!そこまで行きたいの。」
バスの運転手「○○一丁目のバス停には停まりますよ。」
おばあちゃん「そうじゃなくて…、○○のコンビニよ!交差点のところに交番があるところ。」
バスの運転手「バス停じゃないの?コンビニはたくさんあるし。その辺の交差点に交番があるとこないけどな…」
乗客「私も○○に行くのよ。どの辺なの?」
おばあちゃん「コンビニのとこ。」
乗客「コンビニって言ってもね〜たくさんあるし…」

声をかけてくれた乗客は、話しても無駄、というように通り過ぎ、それを見ていた他の乗客は、くすくす笑っている人も入れば、早くしろ!と怒っている人もいます。

バスの運転手「おばあちゃん、とりあえず中に入って、私の近くにいて下さい。見覚えのある景色が見えたら教えて下さい。近くのバス停で停めますから。」

ひとまず一件落着。
おばあちゃんは運転手の後ろにしっかりとつかまり、立っています。
そのまま、バスは発車。

しばらく走り、そろそろ、その地域に入ります。
いくつかバス停を経由しても、おばあちゃんはここだ、と言いません。

バスの運転手「○○を過ぎますよ。」
おばあちゃん「え?そう?分からないわ…」
バスの運転手「おばあちゃん、これじゃ遠いところまで行っちゃうから、次の駅のバス停の近くに交番があるから、そこで降りてもう一度場所を聞こうね。」
おばあちゃん「…」

ここで前代未聞。
次の駅のバスロータリーを過ぎたところで、バスは停車。
バスの運転手は私たちに「申し訳ございません。」と言い残し、乗客数名を残して、おばあちゃんとバスを降りて、交番まで行ってしまったのです。

エンジンがかかったまま、運転手のいないバスの車内。
どうなるんだろう?と不安に思っていると、後ろに座っていた年配の女性が、
「私、待ち合わせがあるのに…間に合うかしら…」とつぶやきます。
誰かが、チッと舌打ちをしてため息をつきました。
嫌な雰囲気。

私も、施設に向かうために、ぎりぎりの時間だったので、少しハラハラ。

5分くらいして、走って帰って来た運転手は大急ぎで、「参った参った」といいながら運転席に着きます。
マイクで「大変ご迷惑をおかけしました。」と乗客に謝罪し、またバスは走り出しました。



私は、施設での用事が済んだ後、帰路につきながら、この一部始終を思い返しながら歩いていました。すると、

孤立ゼロプロジェクト「絆の安心ネットワーク」

とか書かれた大きな看板が目に入りました。
この地域ではお年寄りを、地域のサービスでつなぎ、見守る取り組みが行われているようでした。


今回のおばあちゃんのことで言えば、警察官、バスの運転手、バスの乗客が関わっています。

警察官、バスの運転手がそれぞれに、出来ることをした結果ではありましたが、結局周囲の乗客の理解は得られず、困った人で、終わってしまっているのが少し残念だな、と感じました。

おばぁちゃんがバスに乗る際に、早くしろよ!と、罵倒されてしまったことは、
最初にバス停を案内した警官が直接運転手に事情を説明してくれたら、おばあちゃんの行く先がもう少しはっきりして、運転手も困らなくて、乗客も待たされなくて済んだかもしれない。

運転手がバスから降りて、乗客を不安にさせてしまったことは、
近くの交番に、無線か何かで連絡するシステムがあったとしたら、バスを降りることなく、どこかのバス停で、警察官が保護してくれるなどしたかもしれない。

地域のネットワークを構築するのは、簡単なことではありませんが、今回のことのような、実際の『困った』から、学ぶべきことはたくさんある気がしています。

お年寄りが迷惑な困った存在に思われて、社会の中で暮らしにくい環境になってしまうのを、少しでもなくしていくシステムが構築されたらいいな。
そう思った出来事でした。

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事例037 懐かしの味

デイサービスでおばあちゃんと話していた時のことです。
「昔と今じゃ、食の好みが違うからねー、家事はお嫁さん任せよ…」と、おばあちゃん。
その時、ふと私の祖母のことを思い出しました。


私が中学生の頃。
夕飯はいつも母が作っていましたが、あるとき母が仕事で忙しく、祖母が作ってくれた時がありました。

父と私と祖母。3人の食卓。
「いただきまーす。」と、最初は味噌汁からいただきます。

一口飲んで、父と私がほぼ同時に言いました。
「あれ?今日の味噌汁なんか違わない?…美味しい!」

祖母「塩かなぁ…」

父と私「塩!?」

祖母「そう、塩をひとつまみ入れたの。コクが出るんだよ。」

父と私「ヘぇ〜!!」

母も誰も知らない、祖母の味噌汁の秘密でした。


そのことを思い出したので、施設のおばあちゃんに話すと、
「そうね、昔は味の素見たいなものとか、調味料だって豊富じゃなかったから、素材の味を活かしたり、少ない調味料で工夫したもんなんだよ。味噌汁ひとつとっても、家庭の味ってあるものよ。今度、私も久々に味噌汁つくってみようかしら…」とおっしゃいました。

このおばあちゃんは一人暮らし。
家事が一人では上手く出来ないので、自宅でヘルパーさんを利用していました。
この話をしてから、「料理をしたい!」とおっしゃり、自宅でヘルパーさんの手助けを借りて味噌汁を作ってみたらしいです。

材料を切るのは難しかったようですが、味噌を溶く仕草や味付けはさすがだなと感じる様子だったそうです。

身体や舌で覚えていることは忘れないものなんですね。

皆さんの懐かしの味はなんですか?

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おこナイトvol.5~今よりもっと家族になろうよ~

“ありがとうございました”


大雨の中、ずぶ濡れでお越し下さった皆様もいらっしゃり、本当にお天気を恨むばかり…
でも、そんな中だからこそ、やっぱり来てよかったと思って頂けるようなステージにしたい。
そう思いながら、話しや歌をお届けした2時間でした。

たくさんの暖かい拍手を下さった参加者の皆様。
行けないけど頑張って!と、ラインやFBで暖かいメッセージを下さった皆様。

参加出来ないから…と、お花を届けて下さった、蓮根高齢者在宅サービスセンターの高橋さん
素敵なタイミングで花束を下さった、東進デイサービスの八木さん
出すタイミングが分からなくて…と、花束を用意して下さったスターツケアサービスきらら北栄の吉田さん
雨の中迷いながら来ました…と、お花を抱えて来て下さった玲光苑習志野ローズ館の木田さん
山梨から駆けつけました 笑…と、手みやげを下さった安田さん
健康体操で会場を盛り上げて下さった、南さん

皆さんに再度 心から

“ありがとうございました”
写真-7

参加下さった方の中で、介護の仕事に就こうかどうか悩んでいた、という方がこのライブをきっかけに、介護職になる!と決意して下さったと、嬉しいお話を頂きました…泣

ライブ中、参加者の介護士さんに「何を大事にして仕事をしていますか?」と質問したら、「こころ」です。と答えて下さいました。

決してきれいごとだけではない介護ですが、「心」を通わせることの出来る、素晴らしい仕事であることも伝えて行きたいと改めて感じました。

〜今よりもっと家族になろうよ〜
皆さんと、またお会い出来る日を楽しみにしています!!!
 
《セットリスト》
1、家族の風景…何気ない家族の日常を思い出す時、どんな風景を浮かべますか?
2、芭蕉布…デイサービスであるおばあちゃんが良く歌っていた曲、おばあちゃんのエピソードを交えて
3、僕は流しの運転手…父が病気になって思い出したことは…
4、Dear family…今出来る未来への準備とは…
5、皺皺に輝け…皺皺だっていいじゃない!輝ける人生を!
6、関白失脚…ある認知症カフェで出会ったご夫婦の話から…
7、手紙…「カゾクロ」って?
8、愛燦々…家族や大切な人と過ごす何気ない日常、人生って…
9、時代…どんな絶望もいつかそんなことがあったねと言える日が来るから…皆さんご一緒に!

Category : おこナイト♪
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事例036 30分のクラシック

施設にいらして下さるボランティアさんを通じて知り合った、あるピアニストがいます。

彼は、様々なコンクールで賞を受賞しており、有名なホールでソロコンサートを開催するほどの実力者です。
そんな彼が、必ず自身のコンサートの前に、彼の指導者の先生と共に、私の勤務する施設に来て慰問演奏をしてくれました。彼や先生はとても謙虚に、「リハーサルのつもりで弾かせて頂いているので…お礼はいりません。」と話してくれましたが、私たちにとってはリハーサルとは思えないほどの素晴らしい演奏です。

最初のころは、「クラシックはあんまり興味ないけど、聞きにいってみるわ」というくらいのご利用者さまたちも、一度彼の演奏を聞くとみんな虜になってしまい、「次は彼はいつ来るのかしら!」と心待ちにしている方や、イベントの掲示がされると、「あのピアノの彼が来るんですってね!絶対聞きにいくわ!」と、待ちきれない様子の方もたくさんいます。


さて、何度目かの慰問演奏の打ち合わせ。
彼の先生から連絡が入り、用意して頂いた曲目で、驚きの選曲がありました。

私たちが聞いたこともない作曲家の、全く知らないその曲は、何十章かに別れており、それぞれに《恋心》《孤独》《親しみ》などの心情、季節や情景を表現しています。
なんと全30分以上の大曲。

「皆さん聞いていられるでしょうか?」との質問に、
「絶対無理でしょう!」「聞いたこともないようなクラシックを30分以上ノンストップで聞くって、私たちでも辛いですよ!」と言いかけた時。

先生が言いました。
「とっても美しく、力強いメロディーです。一つ一つの章節に意味があり、彼はきっと上手に表現してくれます。」

たった、その一言でしたが、なぜか私にはいける気がしたんです。


さて、当日。
40〜50名ほどのご利用者がホールに集まり、満席。
大きな拍手で、迎えられた彼は、一礼して静かにピアノに座ります。

しーんと静まり返ったイベントホールに、彼のピアノが響きはじめました。。
静かに流れるように始まったかと思うと、振り切れてしまうのではないかというくらいに激しく、たたくように情熱的な演奏…かと思うと、楽しげで弾むような演奏。

ご利用者がどんどん惹きつけられていくのが分かりました。
私もはじめは(凄い演奏だ…)と思いながらも、ご利用者が飽きてしまうのではないかと心配で、時計に目をやり、5分経過…10分経過…と時計とご利用者の様子を忙しく見ていましたが、いつの間にかご利用者と一緒に演奏に惹き込まれていました。

あっという間に30分。

彼が、最後の鍵盤をゆっくりとたたくと、しばらく音の余韻が残り、静かになった瞬間。
「ブラボー!!!」「最高!!!」と拍手の嵐。
ご利用者の中には、感激で泣き出す方も。

その時です。
認知症が急激に進行していたおばあちゃんで、言葉を失いかけていた方が、突然泣きながら話しだしたのです。

「と、と、とにかく、素晴らしかった!」
「ひ、ひ、一つ一つ、ち、ち、ちゃんと物語が見えた!」
「あ、ありがとう。あ、ありがとう。」

40〜50名のご利用者の中で、中には重い認知症状があり、普段は落ち着いて座っていられない方もいました。しかし、席を立った人は誰一人いません。
はじめに聞いた時には、絶対無理だと思った30分の演奏ですが、こんな反響があるとは思いませんでした。

違った感激で、私たちスタッフは胸を打たれました。


脳を刺激する音楽を聴くと、α(アルファ)波がでて、機能しなくなった部分に働きかけると言います。言葉が出るようになったり、身体の動きが改善されたり、徘徊や睡眠障害を軽減・改善すると言われています。

彼の演奏は、脳と心に染み渡る素晴らしい演奏でした。
「彼はきっと上手に表現してくれる」と言った、先生の言葉は本当でした。

彼は今でも、慰問演奏を続けてくれています。

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